ほんとうに難しいのは解決の後
ハラスメント事案の相談があったとき。
被害者、行為者とされた人、そして、周囲にも事情を聞き、ハラスメントとして処分が下る場合もあり、相談した人の思いすごしであったということで、処分なしで終わることもあります。
ここまでは、やり方について書かれた本もたくさんあり、相談を受ける会社もあります。
でも、ほんとうに難しいのは、その後なのです。
当事者同士がそのままいっしょに仕事をするときも
仕事は変わらず続いています。
ある程度の規模がある会社で、被害者、行為者どちらかを異動させたりして、顔をつきあわせないようにできる場合もあります。しかし、会社の人数や部署の性質によっては、異動もできず、その後もいっしょに仕事をしなければならないこともあります。
ハラスメント行為が確認されたにしろ、されなかったにしろ、行為者と名指された人は、相談を持ちかけた人に対して、おもしろくないでしょう。
人間関係がぎくしゃくしたままでは、仕事もやりにくくなってしまいます。
被害者を非難することになりがち
指導のいきすぎがパワハラにつながったような場合、ほかの社員より指導が必要なローパフォーマーががターゲットになることもよくあります。行為者だけでなく、周辺の社員も「仕事もできないくせに、騒ぎ立てて問題になった」と、相談した人を責めるような雰囲気になることもありがちなことです。
セクハラの場合も、ひとつの事案がいちおう解決したような場合も、女性を職場の対等な仲間として見ない、という職場の雰囲気がその根にあると、「女のくせに騒ぎ立てて会社に波風を立てた」と冷たい視線の中で、被害者がいたたまれなくなる、ということになってしまいます。
一般的な処方箋はない
こういう状況に対して、こうすればよい、という一般的な処方箋は残念ながらありません。
定型的な解決法がないからこそ、社内のひとりひとりからじっくり話をうかがい、会社の進むべき方向について経営者ともよく話し合った上で、問題を切り分けていく、というアプローチが求められます。
次のハラスメント事案のタネ
ひとつ言えることは、被害者を責めたり、退職に追い込むのは、次のハラスメント事案のタネをまいているようなものだということです。
指導が必要な場合も、できるだけハラスメント事案とは区別をつけ、「ハラスメントの被害を申告したから、厳しく指導されている」という因果関係を本人が受け取らないように配慮すべきです。
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