お天気のいい日は、少し動くと汗ばむような陽気になってきました。節電のために、冷房温度が高めに設定されている会社も多いですね。
この季節になると、よくご相談いただく内容があります。
それは、女性の服装についてです。
男性の方は、クールビズが定着してきたといっても、職場に Tシャツ短パンで現れたという話は、あまり聞いたことがありません。エリのついた半袖シャツ、スラックス、サンダルではなく革靴、というのが、通常のビジネススタイルでしょう。また、クールビズを導入したときに、どこまで許されるか、ガイドラインを定めた会社も多いと思います。
ところが、女性の服装については、「このへんが妥当」というガイドラインを定めるのが、かなり難しくなっています。
具体的にいうと、ノースリーブ、胸の谷間が見えるような深い襟ぐり、透ける素材、ミニスカート、生足、ミュールなどをどこまで許容するかということです。
就業規則には、「職場にふさわしい清潔な服装をすること」程度の規定はあっても、スカート丈までは書いてないのがふつうですね。
「ちょっとこれは、仕事するときのスタイルじゃないよね」と思っても、基準がはっきりしない以上、注意していいものかどうか、迷っている管理職も多いようです。とくに男性の場合は、「そんなに肌を露出してちゃ困るね」などと言おうものなら、セクハラと言われかねないので、見ないことにしている場合もありますね。
基本的に、服装は個人の自由です。会社といえども、好き勝手に干渉できるわけではありません。その意味で、「注意するのにとまどう」という感覚は正しいのです。
とはいっても、合理的な理由があれば、会社が社員の服装を規制するのは許されています。
つまり、接客をする仕事や、事務室に外部からのお客様がよく訪ねてくるような仕事であれば、それにふさわしい服装を会社が定めて強制することができ、従わない場合は、服務規程違反ということで、懲戒処分の対象にすることもできます。
注意する場合には、やはり、スカート丈は膝が出るものはいけない、とか、素足はいけない、などと、具体的な基準を定めておく必要があります。
少し前の記事ですが、職場でどんな服装が禁止されているかのアンケート結果がありましたので、参考までにリンクしておきましょう。
とくに接客などの理由がない場合には、個人の自由にどこまでガイドラインで対抗できるか難しいところですが、頭ごなしに「そんな服装ではだめじゃないか」と言うのではなく、「お互いに気持よく仕事をするために、ある程度妥協してもらえないか」という形でやんわりとお願いしてはどうでしょうか。
そして、このように言いにくい内容を注意する場合に、カドがたたずに伝わりやすい言い方があります。
それは、
「いまごろと思われるかもしれないけど、どこまで注意していいかどうか、自分でも迷っていたのでためらっていたんですよ」
「個人的な趣味に干渉するようで、気を悪くするかと思って、いままで言いにくかったんだけどね」
などと、言いにくい気持ちを、そのまま前置きするやり方です。
その後、注意するにしても、相手の感情や個人の自由に配慮しているということを伝えることができ、相手も聞き入れやすくなります。
自分個人の趣味で注意していると思われるのを避けるためにも、「周りの人が不愉快な気持ちになる可能性があることは、仕事をする上で避けたほうがよいから」という理由をきちんと伝えるようにしましょう。
「このくらいわかっているだろう」ではなくて、ていねいに伝える誠意は、きっと伝わりますよ。ただし、くどくならないように簡潔に!