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きのうの記事については、実は、もっと気になるところがあったのですが、そこまでたどりつかないうちにかなり長くなってしまったので、前半部分だけで更新しました。きょうはその続きです。

ユニクロのバイトが語った実態を弁護士が検証したら全部違法でした | シェアしたくなる法律相談所

上にリンクした記事で、「あれ?」と思ったのはこの部分です。

■バイトの評価をみんなが分かるところで発表

バイトの評価の内容が良ければまだ良いが、悪い内容の評価であれば、それをみんなが分かるところで発表することで、働きがいを失わせ、やがては職場に居づらくさせ、退職に追い込むなどのいじめ行為そのものになります。人格権侵害、プライバシー侵害として、違法な行為であることに間違いありません。

そして、上の記事内にはリンクはありませんが、言及しているのはおそらくこの部分です。おそらく、と言っても、ほかには該当する内容は見当たらないので、ここで間違いないかと。

女B「SV(スーパーバイザーのこと。引用者)は週に1回来て、店舗のいろんなところを細かくチェックして、SV入店履歴っていうレポートを残すんですよ。で、店のランクをABCDで付けたりとか、ここをもっと改善しましょうみたいなこと、例えば「誰々さんの笑顔が暗いです」というようなことも書かれたりします。もちろんバイトの評価もそこに書かれます。ダメだった人の名前が蛍光ペンで引かれていて、誰でもチェックできる形で掲示してあるんです。」
ユニクロはホントにブラック企業?学生バイトが赤裸々に語るその実態とは

弁護士さんの書いた記事では、人事評価の内容を発表したようにも読み取れますが、この部分だとすると、日常の指導の範囲のことだと思われます。

悪い評価をだれでも見られるところに掲示しておく、ということが「人格権侵害、プライバシー侵害として、違法な行為であることに間違いありません。」と、太字で強調してまで言い切られると、ちょっと待って、と言いたくなります。

この記事を書かれた弁護士さんは、労働者側でハラスメントの相談にのっている方のようですので、法律家としてこのように主張されるのはわかります。しかし、わたしのように会社の側に立っている実務家から見ると、この部分を一般の方が真に受けて、同じようなことをした会社に不信感を持ったりすると、お互いに不幸なことだと思うのです。

一般的にいって、このように人前で名指しで評価する、しかも口頭だけではなく文書でだれにでも見られる場所に掲示する、というのは、業務上の必要性、その評価が人格否定であるかどうか、また、攻撃的、脅迫的、侮辱的であるかどうか、回数や表現方法はどうか、などを見ないと、すなわち違法であるとまでは言えません。

「笑顔がない」というのならともかく、「笑顔が暗い」というのは、わたしも注意としてはどうかな、とも思いますが、「自分では笑顔を作っているつもりでも、お客様の目にどう映っているかまで意識しなさい」ということであれば、業務としての合理性のある、もっともな指導であるとも言えます。少なくとも、この元バイト氏の発言から、「いじめ行為」と断じるのは、いきすぎだと思います。

同じ方の書いた別の記事の中で、このような部分があります。

そして、現在では、厚生労働省指定法人21世紀職業財団がさらに具体的なパワハラの類型を次のように示しています。
(1)公開叱責(多数の面前での叱責)、人格否定、(2)感情を丸出しにするモンスター上司、給料泥棒呼ばわりする、(3)退職勧奨や脅し、(4)無視の命令、(5)困難な仕事を与えて低評価にする、(6)パワハラの訴えを聞き流す。(強調部分は引用者)
理不尽すぎる「職場のいじめ」を弁護士が徹底検証 | シェアしたくなる法律相談所

わたしは、21世紀職業財団から依頼されて講師もしていますので、21世紀財団の発行しているパワハラ関連の資料は、ひととおり持っていますが、このようにまとめられる部分というのは、資料の中にはどうも見当たりません。もちろん、大意としては、大きく間違っているわけではありませんが。

ただ1ヶ所、強調した(1)の部分は、21世紀財団の出しているパワハラの類型の考え方とは違うようです。

逆にこのような例示がされています。

◎パワーハラスメントに該当しないもの
業務上必要な指導を、相当性を欠くとはいえない範囲内(表現、回数、態様等)で行うものは、相手がどう受け止めようとパワーハラスメントに該当しません。
(例)
◇たびたび遅刻してくる社員に対し、部署の皆の前で叱責する。
(『職場におけるパワーハラスメントの防止のために』公益財団法人 21世紀職業財団)

ネット上には、労働問題に関するたくさんの情報があります。玉石混交という状態で、つまづくだけの石のような記事もありますが、弁護士さんが実名で事務所のサイトで書いたものとなると、当然信用度はぐっとアップします。

しかし、自分自身の法律的な解釈と、別の団体の考えはやはり分けていただかないと、誤解を生む元になるのではないでしょうか。

 

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