わたしが社労士になったばかりのころは、社会保険の資格取得の用紙などはノンカーボンだったので、ボールペンは必須でした。実は、ノンカーボンですらなく、単に正副2枚がつづってあるだけで、間にカーボンをはさんで書く方式のものも使ったことあります。カーボンなんて、若い人は見たことないかもしれませんね。
最近は複写式の用紙はあまりお目にかからなくなりましたし、電子申請や、Adobe Acrobat でPDF に直接記入したり、最初から Word や Excel の様式が用意されていたりと、手書きする機会はめっきり減りました。でも、やっぱり書類を手書きする場合は、ボールペンです。油性ではなくて、水性ゲルインクのとても書き味がよいものがたくさん出ていますね。
そして、何年か前に「消せるボールペン」として、大々的に売りだしたのがPILOT のフリクション。三菱などからも、同様のものが出ています。
実は、こういうものがあるのは知っていましたが、いまだに使ったことはありません。
書類の場合は、2本線で訂正して、訂正した後を残すのが基本ですし、メモの場合は、スピードが必要ですから、わざわざ消さなくても、やはりぴっぴっと線を引いて終わり。いったいどこに使うのか、正直いってよくわかりません。
この「消せるボールペン」が、いま問題になっています。
「消せるボールペン」で勤務水増し…痕跡残らず : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
摩擦熱で消えて、0度以下になると、消した線が出てくる、というのも、こういう記事を見て知りました。あぶり出しとは逆ですね。いや、あぶり出しは、いったん出てきた文字は消せませんが。
「消せるボールペン」の不正防止のために、提出書類は、一晩冷凍庫で寝かせること、なんて対策は現実的ではなく、やはり職場では使用禁止にするのがよいでしょう。
職場で使う文房具は、基本的に会社で用意し、私物は原則持ち込まない、というふうに就業規則で定めることもできます。
もっとも、会社が「禁止」と就業規則に定めれば、それがすべてそのまま「職場の法律」になるわけではなく、当然ながら、合理的な根拠が必要です。私物はなんでも持込禁止、というのは極端ですし、あまり意味がありません。「消せるボールペン」という具体的な品目については、不正防止のため、という理由がはっきりしているので、持込禁止にしても、さほど問題はないでしょう。