なにかの会合で、「では、◯◯さん、一言お願いできますか?」ととつぜん司会者からふられ、「いやー、急ですね」と言いながら、すらすらと3分ほどしゃべって、拍手をもらって終わる。
急なスピーチの依頼でも、こんなふうにスマートにこなす人、あなたの周りにもけっこういますよね。
もともと人前で話すことが得意な方は、そんなに多くありません。
もちろん、場数を踏むと慣れてくるということはありますが、それ以外にも、小さな工夫をしていることが多いものです。
「わたしはあがり症だからムリ」と尻込みしていると、せっかくのビジネスのチャンスを逃してしまうかも。
「人前が苦手」と思っているあなたのために、かんたんなコツをお教えしましょう。
1.依頼者の要望を満たすように話す
急なスピーチを頼まれる。
つまり、あなたに頼んだ人がいるはずです。
その人は、あなたになにを話してもらいたいのでしょうか?
あなたの知識や経験の中で最新のものをご披露する。
ちょっと頼まれた短いスピーチであれば、その程度のものが多いでしょう。
テーマは、その場の流れで推測できることがほとんどです。
はっきりしないのであれば、「なにについて話しましょうか?」と聞くのもいいですね。
だれかひとりの要望を頭に入れて、その要望を満たすように話す。
相手がひとりなら、ほとんどの人がそこそこできることです。
おおぜいのぼんやりした「聴衆」ではなく、だれかひとりに意識を向けましょう。
「(自分は)なんの話をしようか」「自分はどんなふうに見えるだろうか」「失敗したら、(自分が)みっともない」と、「自分」にフォーカスしていると、ますます緊張します。
そこから、「自分以外」のところに意識を向けると、あがりにくくなります。
もちろん、話自体も的がしぼられ、その場にフィットしたものになります。
2.話を3つに分解する
これは、できれば、ふだんの仕事の場での報告などでも意識しておくといいでしょう。
そうすると、急場にもさっとできるようになります。
やり方はとても簡単です。
「きょうわたしの言いたいことは3つです。ひとつめは~」
「◯◯というのがだいじなことなんですね。理由は3つあります。ひとつは~」
言いたいこと、もしくは言いたいことの理由を3つに分けて話す。
もし、4つや5つあっても、3つに収まらないものは捨てるか、まとめて3つにしてください。
3という数字は魔法の数字です。
3つにまとめると、話がすっきりして、聞いている方もとても聞きやすくなります。
だらだら長いばっかりで、なにを言っているのかわからない、ということも防止できます。
「ひとつめは」と、指を1本立てるジェスチャーをつけると、とても慣れている感じがして、好印象です。
3.直前に深呼吸、少しストレッチ、水を飲む
人間は、体、つまり筋肉がゆるみ、深い呼吸をすると、心の緊張や不安感もゆるむようにできています。
浅くて早い呼吸になっていませんか?
まず、呼吸を深く、ゆっくりするように意識しましょう。
ひと目が気にならないのであれば、思い切り深呼吸するのもいいですよ。
次に、ストレッチです。
手を後ろに組んで胸を張る、首を少し横に傾けたり、回したりする。
この程度であれば、出番の前に1分ほどでできますし、それほどひと目もひきません。
下半身はどっしりと、上半身は柔らかく、というのが理想です。
自分なりに、やりやすい方法を探してみましょう。
最後に、水を飲む。
人前に出るときには、その直前に一口水を飲んでおくと、体が少しリラックスし、まいあがった気分がクールダウンされます。
しゃべりだしてから「口がカラカラだ」と気づいてあせったりしないように、水を飲むことを習慣にしてみましょう。
ここでご紹介した3つの方法は、急な依頼でなくても、人前に出て話すような、緊張する場面ではとても役に立ちます。
「これをやればあがらない」という意識も、緊張をゆるめる助けになります。
おまじないよりは、具体的に効果がありますので、ぜひお試しください。