「理屈はいいから、言われたとおりにやれ」

若手のころ、上司からこのように言われたことがある人は多いのではないでしょうか?

新たに管理職になる適齢期は、およそ30代後半あたりでしょう。この年代の方が若手だった10年から15年前というのは、まだ「パワハラ」という言葉もなかった時代です。

上司は部下を威圧して率いていく、というやり方がふつうで、多少納得がいかないことがあっても、「こんなものだ」と自分を納得させるのが、一人前になるひとつの方法論でもありました。

ところが、自分が管理職になったときに、いまの20代にそのようなやり方で接しても、まず通用しません。

冒頭のような言葉で相手が従えばラクなのですが、これでは部下は納得せず、上司との信頼関係が育ちません。

自分が育てられたときのやり方が、人を育てる立場になったときに通用しない。現在の管理職は、大きな困難に直面しています。

では、どうしたらいいのでしょうか。

厳しい指導が難しくなっているとはいっても、上司が部下との間に信頼関係を築く方法は、昔といまで、大きくかわっているわけではありません。

管理職としてのコミュニケーションの取り方は、あんがい、小学校で習ったレベルの基本的なことと重なる部分も多いものです。

基本が大切、という言い尽くされたことですが、ひとつひとつの具体的な行動にあてはめてみるということは、実はなかなかできていないものです。

子供の頃に戻って、思い出してみて下さい。

あいさつをするときは、どのようにしましょう、と習いましたか?・・・あかるく元気にあいさつしよう。

人の話を聞くときは、どのようにしましょう、と習いましたか?・・・話している人を注目しよう。さえぎらずに最後まで聞こう。

発言するときはどのようにしようと習いましたか?・・・はっきりと大きな声で、ゆっくり話そう。

友達とのつきあい方はどのようにしようと習いましたか?・・・相手のいやがることはやめよう。

そして、おとなとしてそれを実行している自分を想像してみて下さい。

ふだん自分がやっている方法とは、どのように違いますか?

あっ、と思ったことがあれば、きょうから実行してみましょう。

このタイトル、どこかで聞いたことがあるなぁ、と思った方も多いのではないでしょうか。こんな本があります。

人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ