新たに従業員を雇い入れたら、まず、社会保険と雇用保険の手続きですね。それだけでなく、労働基準法で定められた手続きもあります。
それは「労働条件を本人に通知する」ことです。
「うちは口頭でやってるよ」という方は、要注意です。文書で通知しなければならない内容も、法律で決まっています。
文書で通知しないからといって、すぐに問題が起きるわけではありませんが、「面接の時に、条件について、口頭ではああいってたけど、ほんとにだいじょうぶかな?」などという、新人さんの不安を軽減し、「この会社はちゃんとやっているな」と、会社への信頼を持ってもらうためにも、できれば入社当日に、労働条件を書いた文書を渡すようにしましょう。
通知の方法は、基本的には文書を渡すのですが、労働者が希望した場合は、FAXや電子メール、SNSメッセージ機能等による明示も可能です。ただし、出力して書面を作成できるものに限られます。
書面で明示しなければならない労働条件は、次の5項目です。
- 労働契約の期間(期間の定めの有無、定めがある場合はその期間)
- 就業の場所・従事する業務の内容
- 労働時間に関する事項(始業・終業時刻、時間外労働の有無、休憩、休日、休暇等)
- 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
さらに、パートタイマーの方には、次の4項目も書面で明示する必要があります。
- 昇給の有無
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
- 相談窓口
実は、使用者が明示しなければならない労働条件は全部で13項目あります。
書面での明示が義務付けられていない部分は、通常、就業規則に記載しておき、それを示すということになります。
- 労働契約の期間に関する事項
- 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
- 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
- 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
- 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
- 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
- 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
- 安全及び衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰及び制裁に関する事項
- 休職に関する事項
(緑の部分が書面で明示すべき事項)
労働契約の期間や、就業の場所、従事する業務の内容というのは、個別に違ってきますので、就業規則だけで示すのはムリがありますね。
入社の時に渡す、労働条件通知書は、厚労省が作成したモデル様式がありますので、それを利用すると簡単です。