パンプス強制やめて「#KuToo」署名1万8856筆提出 「性差別だ」 – 毎日新聞
職場での女性へのパンプスの強要が話題になっています。
会社が従業員の私的な行動についてなんらかの規制をするときは、「仕事なのだから会社が従業員に命令するのは当たり前」ではなく、次のような順序で考えたほうがいいでしょう。
1.基本は自由
2.合理的な理由があれば、その理由が及ぶ範囲に限り許される
3.強制力(守らない場合は懲戒)を持たせるには、合理的な理由があることが前提
どのような服装をするかというのも、「私的な行動」になります。
そして「合理的な理由」というのは、「なぜそれが必要か」「なぜそうなっているのか」を説明して、第三者が「それはもっともだ」と納得するようなもの、ということです。
第三者といっても、実在の人物ではなく、ここはいわゆる社会通念とか、一般常識というものですね。
問題は、この「社会通念」や「一般常識」というものが、ことばどおり「社会」や「一般」に共有されているのかどうかわからないこと、そして、時代によって移り変わっていくものだということです。
40年前にはオフィスで働く女性の服装として、パンツスタイルはほとんど見ませんでした。
いまはまったくふつうにみなさん着ていますね。
スーツ姿の男性がリュックを背負っているというのも、都会の通勤風景ではおなじみになりましたが、カジュアルすぎるとして拒否感を感じる人もいるようです。
職場での服装をめぐる社会通念や一般常識は、移り変わり揺れ動いています。
さて、パンプスに話を戻しましょう。
Twitter で、この問題のタグ #KuToo をつけて、このように投稿しました。
たとえば接客の女性が、こういう靴履いていて、「失礼だ」「不快だ」といやがるお客さんっているのかしら。もしいたら悪質クレーマーだし、黙って二度と来ないということだと、当店の雰囲気があわなかったので、ご縁がなかった、という以上のことではないでしょう。#KuToo pic.twitter.com/WlbMDcemTQ
— メンタルサポートろうむ (@mental_sp_roumu) 2019年6月5日
同じ革靴でも、上の写真のように、ローヒールで、はきこみが深いタイプの靴であれば、合わないパンプスをはいているときの、足の痛み、全身に感じる疲れ、頭痛の心配はあまりありません。
パンプスという靴は、そもそもぴったりでないと歩きづらいのでキツめを買いますし、最初はぴったり合っていても、はいているうちに革が伸びてしまい形が崩れ、靴ずれを起こしたりします。
ヒールが高ければ、1日はいているその苦痛たるや。
まさに靴が苦痛でKutoo です。
長時間履き、立ち、歩くという仕事用の靴として、とても合理性があるとは思えません。
「パンプスでなければお客様に失礼」という一方の合理性で、上のような苦痛に対抗できるかと言えば、かなり難しいでしょう。
ほんとうに失礼なんですか?
パンプスでなければ、いやがるお客さんってほんとにいるんですか?
ということです。
さらにパンプスの強要がパワハラかどうか考えるには、パワハラとはどういうものなのか、おさらいする必要がありますね。
現在よく使われている定義は次のようなものです。
パンプスをはくことから起こる精神的・身体的苦痛を訴えている労働者に対して、「会社の規定で決まっているのでパンプスをはかなくてはならない」というためには、「業務の適正な範囲を超えて」いないこと、つまり、業務上の合理性が必要です。
上で見た「合理的な理由」があるかどうかということですね。
せっかくですので、パンプスについて服装規定に定められている会社では、この条項について検討してみてはいかがでしょうか。
または、とくに命令していないけれど、女性全員がパンプスをはいているようであれば、暗黙の了解として強制されているのかもしれないので、やはり女性に意見を聞いてみる価値があります。
労働者が少しでも働きやすくなることが、会社にとって最も業務上合理性があります。
女性だけでなく、男性のスーツ・ネクタイや革靴も場合によっては仕事の現実にそぐわなくなっているかもしれません。
ほんとうの「業務上の合理性」はなにか、という点に立ち返って考えてみましょう。
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