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ケン・ローチ監督最新作『家族を想うとき』公開記念「わたしの仕事8時間プロジェクト」特別試写会&ディスカッション(12月2日18:30~※入場無料※先着20人限定) | わたしの仕事8時間プロジェクト

上記試写会に行ってきました。
たまたまその日に会場のすぐ近くで仕事があり、時間も場所も終了後に行ける範囲でした。
栃木在住では映画の試写会や、この手の夜開催されるイベントにはなかなか参加できないので、とてもラッキーでした。

さて、映画自体は、労働・雇用・家族の絆など、さまざまなテーマが読み取れるものでした。
静かな中にも緊張感があり、登場人物それぞれの心情が迫ってくる佳作ですね。おすすめです。

描かれるエピソードの中で、わたしがとても気になったのは、この家庭のやりくり(マネージ)を妻がひとりで担っていたことです。

母のアビーはパートタイムの介護福祉士として、時間外まで1日中働いている。リッキーがフランチャイズの配送事業を始めるには、アビーの車を売って資本にする以外に資金はなかった。遠く離れたお年寄りの家へも通うアビーには車が必要だったが1日14時間週6日、2年も働けば夫婦の夢のマイホームが買えるというリッキーの言葉に折れるのだった。

介護先へバスで通うことになったアビーは、長い移動時間のせいでますます家にいる時間がなくなっていく。16歳の息子セブと12歳の娘のライザ・ジェーンとのコミュニケーションも、留守番電話のメッセージで一方的に語りかけるばかり。
映画『家族を想うとき』公式サイト より)

留守の間の子供の食事は、前もって作っておき、温めるだけにしてあり、子供に電話して「パスタがあるから温めて食べて」と連絡する。
子供のスイミングの送迎に行けない用事ができてしまうと、近所のママ友に依頼する。
家を飛び出した高校生の息子の居場所を、仲のいい友人宅だと見当をつけ、親同士連絡しあってそれを夫に伝える。

この映画の中では、妻がスマホで家族に連絡する場面がひんぴんと出てきます。

そして、なにかイレギュラーなことが起きたとき、関係方面に連絡をとって状況を把握したり、代替策を考えて依頼したりする。
これはまさに「マネージ=やりくり」であり、会社であれば「管理職=マネージャー」の仕事です。

思春期の子供と夫との間の橋渡しをする。
きつい仕事で疲れていらいらしている夫の感情にもよりそう。
自分もへとへとなのに。
そして、そのへとへとの理由は、仕事で使っている車を自分の新しい仕事のために売ってしまった夫にもあるというのに。
妻はこんなふうに、家族の感情についても、マネージしています。

ふだんからなにかのときに備え、手持ちの材料をやりくりし、メンバー同士をとりもつ。
家庭内でのこのような役割は、多くは妻に偏っています。
この家庭は、妻というよくできたプレイングマネージャーがいるからこそ、ばらばらにならずになんとか家族の形を保っている状況が描かれます。

働きながら子供を育ててきた、自分の来し方が思い起こされ、この妻の肩を抱いてあげたい、そんな思いにとらわれました。