メンタルヘルスのセミナー等で、よくお伝えしている内容に「ライフイベント法」があります。
これは、ストレスの度合いを測るために、「結婚した」「離婚した」「単身赴任した」「上司とのトラブル」「仕事上のミス」などの項目に点数をつけ、過去1年間にあったできごと(ライフイベント)を選んで、その点数を加算する方法です。

「加算する」というところがポイントです。
ひとつひとつでは、その人の許容範囲内で、うまくやりすごすことができる程度のものでも、同時にやってきたり、短い期間にやってきたりすると、積み重なって大きなストレスになってしまうのです。

ライフイベントは、多くは個人的なものですが、家族の変化などは職場でもわかることが多いですね。
結婚したり、お子さんが生まれて幸せそうに見えても、それ自体がストレスのもとになっているので、管理職は少し気をつけて見てあげて下さい、というのが、その結論です。
もちろん、不幸なできごとであれば、なおさらです。

ライフイベントというのは、個人的なできごとなのですが、ストレスの元(ストレッサー)は、万人に降り注ぐものもあります。

そう、暑さです。

極端な高温や低温、短い期間に気温が大きく変化することも、ストレッサーになります。

いままで夏は過ごしやすかった東北や北海道でも、とんでもない高温が記録されたり、それ以外の地方でも、20年前、30年前に比べて、暑さが厳しくなっているのは、だれもが感じているところでしょう。

「ひどい暑さ」にストレス点数をつけると何点になるかわかりませんが、たとえ点数が低くても、ほとんど毎日のように、全員にその点数が振られている、ということに注意が必要です。
基本的なストレス点数が増えている状態だ、ということを、管理職は意識しておきましょう。

「夏だからしょうがない」のです。
いつもより、要求は低めに、ミスしてもかっかとして怒鳴りつけたりしないようにしましょう。
怒鳴りつけると、さらにストレス度合いがあがり、怒鳴った方もパワハラとして申告される可能性があります。

「夏は稼ぎどきなのに、そんなこと言ってられるか」
「暑さなんて気合で乗り切れ」
という考えもあるでしょうが、仕事は夏以外でも年中あります。
夏場がんばりすぎて倒れてしまっては、元も子もありません。

それに気合は短期間ぐっと入れることで効果があります。
夏中はムリですね。
それこそ、体を壊します。

管理職ではないあなたも、「夏だからしょうがない」と考えて、自分にやさしくしてあげてください。
「夏だから、休みを多めに取る」
「夏だから、しっかり睡眠をとる」
「夏だから、おいしいものを食べる」
「夏だから、家族(友達)と旅行に行く」
全部いいですね。

ふだんより若干低空飛行でもいいよね、と自分に許すことで、夏をのりきりましょう。