開業して間もない士業の方々から、ときおりこんな質問を受けます。
「ブログをやれば集客できると聞くけれど、本当に効果があるのでしょうか」
「SNSやWeb広告に投資した方が早いのでは」と。

私は2013年からブログを継続し、現在では月間PV8,000程度、記事数は500本を超えています。広告宣伝費は一切使っていませんが、Webサイトからの問合せと売上が全体の半分を超えています。ハラスメント防止研修は年間50本程度、外部相談窓口は現在20社以上との契約があり、従業員を雇わず一人で事務所を経営しています。

この記事では、なぜ多くの士業がブログを継続できないのか、そして私がどのようにして10年以上継続し、成果を生み出してきたのかを解説します。開業2、3年目の社労士や行政書士、税理士など、経験年数の浅い士業の方々に向けて、再現可能な形でお伝えします。

なぜ士業のブログは継続できないのか

ブログやコンテンツマーケティングが重要だと理解していても、実際に継続できる人はごく少数です。統計データによれば、ブログの継続率は1年後に30%、3年後にはわずか3%まで減少します。つまり、97%の人が3年以内に挫折しているのです。

ブログ継続を阻む3つの壁

士業がブログを挫折する理由は、大きく分けて以下の3つに集約されます。

1. 即効性を求めてしまう

最も多い挫折理由がこれです。SEO対策の効果が現れるまでには、一般的に3ヶ月から1年程度かかるとされています。Googleの公式見解でも「変更に着手してからメリットが得られるようになるまで、通常は4か月から1年かかる」と明記されています。

多くの士業は、1〜2ヶ月で効果が出ないと「やっぱりブログは意味がない」と判断してしまいます。しかし、これは種を蒔いて翌日に「芽が出ないから失敗だ」と諦めるようなものです。

. 反応がないのでモチベーション低下

初期段階では、どれだけ良質な記事を書いても、ほとんど読まれません。アクセス解析を見て「今月も100PVしかない」と落胆し、継続する意欲を失ってしまいます。

しかし、これは当然のことです。新規ドメインの場合、Googleからの信頼を得るまでに時間がかかります。最初の半年は「読まれなくて当たり前」と割り切る必要があります。

. 本業の忙しさに埋もれる

開業当初で、顧客がまだ少ない頃はブログに時間をかけられますが、だんだんお客様が増え忙しくなってくると、すぐに売上に結びつかないブログは後回しになりがちです。気づけば3ヶ月、半年と更新が止まり、そのまま放置されてしまいます。

私も開業当初は同じ悩みを抱えていました。では、なぜ私は継続できたのでしょうか。

私が10年以上継続できた理由

メルマガが生み出す継続の強制力

私がブログを継続できた最大の理由は、メルマガとブログを連動させたことです。

月2回発行するメルマガには、必ず2本のブログ記事を掲載すると決めています。メルマガの内容は、ブログやお知らせなどWebサイトの更新報告がほとんどで、あとは短いエッセイ風の文章を載せているだけです。

つまり、メルマガを発行するためには、必ず2本のブログを書かなければならない。この仕組みが、結果として月4本のブログ更新を強制しているのです。

社労士の仕事は毎日スケジュールが変わります。固定で「毎週金曜午前はブログ執筆」などと決めることは、現実的ではありません。私は仕事の繁閑を見て、書く時間を確保しています。ただし、「月2回のメルマガ発行」という締切があるため、どんなに忙しくても必ず書くことになります。

これが継続の秘訣です。意志の力ではなく、仕組みで継続を担保しているのです。

専門家としての知見と長さのバランス

当初、私も「とりあえず書けばいい」と考え、自分の意見のみで根拠のないふわっとした記事を書いていました。長さも2,000文字もいかない程度の記事です。

しかし、社労士のブログに求められるのは「あなたの意見」ではありません。「専門家としての根拠を示した実用的な記事」です。現在は1記事3,000文字程度を目安にしており、執筆時間は1〜2時間です。このあたりが、継続しながら記事の質を失わないバランスであると個人的には考えています。

現場から生まれるブログネタの見つけ方

ブログのネタをどう見つけるか。これは多くの士業が悩むポイントですが、その解決策は案外身近なところにあります。

実務から生まれる本物のネタ

私がブログに書くネタは、主に以下の3つのソースから生まれています。

1. 実際に受けた労務相談

日々の業務で受ける相談こそ、最も価値あるネタです。「こういう質問をする人がいるということは、同じ疑問を持つ人が他にもいる」と考えれば、それが記事になります。

もちろん、個人情報や企業の機密に配慮し、一般化・抽象化して記事化します。

2. 研修で受ける質問

年間50本程度のハラスメント防止研修を行っていますが、研修後の質疑応答や個別相談で出てくる質問は、まさに現場の生の声です。

「こんなケースはハラスメントになりますか」「部下に指導するとき、どこまで強く言っていいのか」といった具体的な質問は、そのままブログの切り口になります。

3. 時事問題での認識のズレ

ニュースや報道で取り上げられるハラスメント事案について、一般の人と専門家の認識に大きなズレがあるとき、「モヤっとする」感覚があります。

このモヤっとする感覚こそ、記事のネタです。「多くの人はこう思っているようだが、専門家としてはこう考える」という視点で記事を書くと、独自性が生まれます。

基本的な解説記事は書かない

よく「ブログ記事の例」として挙げられるのは、以下のような基本的な解説記事です。

  • 「パワハラの定義とは」
  • 「セクハラ相談を受けたときの対応手順」
  • 「ハラスメント研修で効果を出す5つのポイント」

しかし、こうした記事は基本的すぎて参考になりません。既に大手メディアや厚生労働省のサイトに、同様の情報が溢れています。

私が書くのは、もっと具体的で実践的な記事です。

このように、現場で実際に起こる具体的な状況に対する答えを書くことで、読者は「この人は本当に現場を知っている」と感じてくれます。

ブログ経由の問合せが持つ圧倒的な質の高さ

私のビジネスにおいて、ブログは単なる集客ツールではありません。顧客の質を劇的に高めるフィルターとして機能しています。

比較検討なしで依頼が決まる理由

ブログ経由で問合せをしてくる方の多くは、アイミツ(相見積もり)を求めることが少なく、ほとんど問合せの段階から依頼の意思を決めています

これは、ブログを通じて私の考え方や価値観、専門性を理解した上で問合せてきているからです。

BtoBサイトの問合せ改善に関する研究によれば、「信頼構築」が問合せの質を高める重要な要素だとされています。ブログは、問合せ前の段階で信頼を構築する最強のツールなのです。

ブログが果たす3つの役割

1. 専門性の証明

500本以上の記事があることで、「この人はこの分野の専門家だ」という証明になります。

2. 考え方の共有

記事を読むことで、私がどのような価値観を持ち、どのようなアプローチでハラスメント問題に取り組むのかが伝わります。この考え方の共有が、依頼前の信頼を生み出します。

3. ミスマッチの防止

逆に、私の考え方に共感できない人は、問合せしてきません。これは良いことです。価値観が合わない顧客と契約しても、お互いに不幸になるだけです。

ブログは、「この人に依頼したい」と思う人だけを集める、優れたフィルターなのです。

開業2、3年目の士業へ――今日から始められること

ここまで読んで、「自分にもできるかもしれない」と感じていただけたでしょうか。最後に、今日から始められる具体的なアクションをお伝えします。

ステップ1: 専門分野を1つ決める

まず、自分が特化する分野を1つ決めてください。「何でもできます」ではなく、「○○に強い」というポジションを確立することが第一歩です。

選び方のポイントは以下の3つです。

  • 自分が興味を持てる分野(継続のため)
  • 市場にニーズがある分野(売上のため)
  • 地域で競合が少ない分野(差別化のため)

ステップ2: メルマガとブログを連動させる

次に、メルマガを始めてください。頻度は月1回でも2回でも構いません。そして、「メルマガには必ず○本のブログ記事を掲載する」というルールを設定します。

これにより、メルマガの締切がブログ執筆の強制力となり、継続が容易になります。

ステップ3: 現場から生まれるネタを記事にする

記事のネタは、現場にあります。

  • 実際に受けた相談内容をQ&A形式で記事化する
  • 研修で受けた質問に答える形で記事を書く
  • 時事問題について、専門家としての見解を述べる

基本的な解説記事は書く必要がありません。あなたの現場経験から生まれる具体的で実践的な記事こそが、読者に価値を提供します。

ステップ4: 長く使えるドメインを確保する

もしまだ独自ドメインを持っていないなら、今すぐ取得してください。そして、長く使い続けることを前提に選びましょう。

ドメインエイジは、あなたが思っている以上にSEOに影響します。26年後のあなたのビジネスを支えるのは、今日取得したドメインかもしれません。

ステップ5: 3年は続ける覚悟を持つ

最後に、最も重要なことをお伝えします。それは、最低3年は継続する覚悟を持つことです。

統計データによれば、ブログの継続率は3年後に3%です。つまり、3年続けるだけで、上位3%に入れるのです。

「3年間、月4本のブログを書き続ければ、144本の記事が蓄積される」と考えてください。その頃には、あなたのサイトは検索エンジンから高く評価され、安定した問合せが入るようになっているはずです。

継続こそが最大の差別化戦略

士業の世界では、多くの人が「何か特別なことをしなければ」と考えます。しかし、実際には「誰もが知っているが、誰もやらないこと」を継続することが最大の差別化になります。

ブログを書くこと自体は特別なスキルではありません。しかし、それを10年以上継続できる人はほとんどいません。だからこそ、継続した人だけが圧倒的な優位性を手に入れることができるのです。

月4本のブログ、月2回のメルマガ。たったこれだけのことが、広告費ゼロでWeb売上50%超という成果を生み出しました。

この記事を読んでいるあなたも、今日から始めることができます。メルマガを設定し、最初の1記事を書いてみましょう。1年後、3年後、10年後の自分のために、今日その第一歩を踏み出してください。