みなさんの会社では、ことしは忘年会が実施されるでしょうか。

東京商工リサーチが行った調査では、実施予定率は過半数を超えています。
中には、コロナ禍で実施されていなかったのに、また実施されるようになってしまい、あーあ、と思っている方もいるでしょう。

しかし、この忘年会、そして新年会は、いったいなんのために開催されているのか、考えたことがありますか?

「毎年やっているからでしょう?」というご意見はその通りなのですが、この調査では「『会社の定番行事のため』は31.9%」と、思考停止している会社は3割程度とのことです。

最多は「従業員の親睦を図るため」の87.0%(1,716社中、1,494社)。次いで多かったのは「従業員の士気向上のため」が53.2%(913社)と半数を超えた。 

忘・新年会「実施予定率」は54.4% 企業の「忘年会離れ」が顕著 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ

もしあなたが、職場リーダーや管理職だったり、職場の雰囲気を少しでもよくしたいと考えているのであれば、もう一度この目的に立ち返って、親睦が深まり、士気が高まるような忘年会・新年会を考えてみましょう。

1.全員が楽しめる雰囲気を作る

忘年会・新年会の席では、全員が楽しめるような雰囲気を作ることが大切です。

とくに、アルコールが苦手な人も楽しめるよう、次のような工夫をしてみましょう。

飲み物の選択肢を増やす

アルコールだけでなく、ノンアルコールの飲み物やソフトドリンクの種類を豊富に用意することで、お酒を飲めない人も自分の好きな飲み物を選べます。

進行を工夫する

進行を工夫し、飲酒に重きを置かない企画を考えることも有効です。
例えば、ゲームやクイズ、ビンゴなどを取り入れることで、参加者全員が楽しめる雰囲気を作ることができます。

飲酒の強要を避ける

飲酒の強要は避け、参加者が自分のペースで楽しめるようにすることが大切です。

飲酒を強要する文化は、参加者の楽しさを奪うだけでなく、健康にも影響を及ぼす可能性があります。

忘年会のお知らせの文章に注意事項として入れておいたり、最初の主催者あいさつで注意喚起しておきましょう。
もちろん、そのような場面をみつけたら、やんわりと注意して、強要されている人を救い出してください。

終了時間を厳守する

終了時間を明確に設定し、それを守ることも重要です。
時間が長引くと、お酒を飲めない人は疲れてしまいます。

基本的には会場の飲食店の都合で終了時間が決まることが多いですが、あまり長くならないような時間に設定するようにします。

プライベートの都合で決まった時間に帰りたい人が、中座する羽目にならないよう、終了時間は厳守しましょう。
そのためには、みなが身支度をして会場から出る時間をあらかじめ見込んでおき、余裕をもって終わりのあいさつをするのがよい方法です。

2.ハラスメントが起こらないよう目を光らせる

宴席というとつきものなのがセクハラです。

飲酒の強要については前項で書きましたが、女性社員にお酌やデュエットを強要したり、役員等、中高年男性のそばに女性社員、それも若い社員を座らせようとする行為は、典型的なセクハラです。

また、下ネタや下品な冗談を連発するというのも、男女関わりなく被害者になってしまうセクハラですね。

そのようなことにならないよう、事前に注意喚起するのはもちろん、当日も、できれば複数名で目を光らせておきましょう。

それだけでなく、飲み物の注文やサーブ、料理の取り分け等が、女性や若い人の仕事になってしまわないよう、職場リーダーや管理職クラスが率先して行うとよいでしょう。

3.積極的な聴き手になる

忘年会・新年会では、リラックスした雰囲気の中で、ふだん職場ではできないような話もできます。

もちろん、たんに雑談をするのでよいのですが、職場リーダーや管理職が、積極的な聴き手になることが重要です。
部下や後輩の話を注意深く聞き、興味を持って質問することで、職場内の信頼感を高めることができます。

仕事の話になったら、説教は禁物です。
そこで「指導」しようなどとは考えず、部下や後輩の成果や苦労を認識し、感謝の気持ちを表すことで、ポジティブな職場環境を育成できます。

4.ポジティブなフィードバックを提供する

最初は雑談をしていても、最後は仕事の話になってしまうのが、会社の宴会の常ですね。

同じ仕事の話をするのであれば、部下や後輩の努力と成果に対してポジティブなフィードバックを提供しましょう。
具体的な例を挙げながら、その貢献を称賛することで、チームのメンバーのモチベーションと自尊心を高めることができます。

忘年会は、一年間の努力を讃え、次の年に向けての意欲を高める絶好の機会です。

新年会も、一年のはじめに新たな気持で業務に取り組めるよう、去年のふりかえりを承認ベースで行いましょう。

5.将来の展望を共有する

忘年会・新年会は、過去を振り返るだけでなく、未来に向けての展望を共有する場でもあります。

来年(今年)の目標や計画について話すことで、チームとしての一体感を醸成します。
将来へのビジョンを共有することで、チームメンバーひとりひとりが業務に貢献し、やりがいのある仕事をしたいという気持ちを強めることができます。

6.忘年会・新年会に否定的な意見を理解する

3から5については、忘年会・新年会の場でなくてもできることです。

しかし、ふだんの職場を離れて、料理やアルコールを楽しみながら話をするというのは、人と人との距離を近づけるのに効果があります。

むかしは忘年会・新年会といえば仕事の延長で参加するものだと思っていたのが、「できればやってほしくない」「参加したくない」という意識に変わってきています。
会社ぐるみの飲み会について、否定的な意識を持っている部下や後輩がいたとしても、「いまどきの若いものはだめだ」と切り捨てるのではなく、その人たちの立場に立って、「親睦を深め、士気を高める」ためにどのようにしたらよいのか、少なくとも「うんざりする場」にしないためにできることはなにか、考えてみましょう。