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もし、コンビニの経営者だったら

かりに、あなたがコンビニの経営者だったとします。

従業員はほとんどがアルバイトで入れ替わりが激しいので、たびたび面接をしなければなりません。

あるとき、面接に来た人が、必死の面持ちでこう言いました。

「時給600円でけっこうです。どうか働かせてください」

さて、あなたはなんと答えるでしょうか?

最低賃金の性質

時給を決めるときは、最低賃金以上でなくてはならない、ということは、当然あなたは知っています。

最低賃金は、都道府県別に決まっており、栃木県では 718円です。

600円じゃ最低賃金に違反してるけど、相手が納得してるんだから、別にいいよね。なにせ向こうから言ってきてるんだし。人件費が節約できれば助かるし~。

というわけにはいきません。

かりに、最低賃金より低い賃金で合意して労働条件を決めたとしても、その合意は無効となり、最低賃金額と同額で契約したとみなされます。

これに違反すると、50万円以下の罰金という罰則規定もあります。

産業別最低賃金の見方

面接を終えたあなたは、熱意があるから雇おうか、という気持ちになり、本人が 600円でいいと言っているので、最低賃金と同額を時給として雇うことにしました。

ネットで最低賃金を調べると、最低賃金には2種類あり、産業別の最低賃金が規定されていることを知りました。

その中に「各種商品小売業」というものがあり、かなり高い金額になっています。(栃木県では773円)

あれ? コンビニはここになるのかな? そうしたら718円じゃなくて、773円にしなきゃいけないの?

「各種商品小売業」という名称だけを見ると、小売業全体が入るように思えますが、それは違います。

この業種名は日本標準産業分類で決められている名称です。コンビニは「579 その他の飲食料品小売業」に分類されています。

自社の業種がどこに入るのかわからないときは、もよりの労働基準監督署か、都道府県労働局に質問すると教えてくれます。

結論としては、コンビニの場合は、産業別の最低賃金は考える必要はなく、地域別の最低賃金が適用されます。この場合は、18歳未満や65歳以上の方も適用になります。

最低賃金は毎年のように改定される

さて、パートやアルバイト従業員の時給を最低賃金と同額にしておくと、ひとつ問題が出てきます。

それは、最低賃金は毎年のように改定され、年々アップしていっているので、それにあわせて時給も上げていかないと、たちまち法令違反になってしまうということです。

なかなかあてにならないと言われている労働基準監督署ですが、最低賃金法違反のようにわかりやすいものだと、違反の申告があれば、すぐに指導が入ります。

最低賃金の改定情報に注意しておく必要があります。