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「どうしてわかってくれないの?」

映画やドラマを見ていると、トラブルのタネは、だいたい気持ちのすれ違いです。

お互いに相手をたいせつに思っているのに、その気持が伝わらない。気持ちを通わせるチャンスがあっても、わずかの差ですれ違ってしまう。もどかしいですね。

でも逆に、それがドラマの肝なのです。だれもが自分の気持ちを言葉に出してしまう世界だったら、この世界はまったく陰影のない、平板なものになってしまうでしょう。それに「想い合ってる気持ち」ならいいですが、「お前はドジでノロマなカメだ」なんて、思っていても実際には言われたくないですよね。

とはいっても、現実はドラマではなく、家族や職場の人など、たいせつな関係の相手とのすれちがいはなるべく避けたいものです。

ドラマを見ているときは、「あー、いまだよいま! いま、ちゃんと話しなさいよ! そうしたら全部解決だよ!」と思わず画面に向けてツッコミを入れてしまうような場面でも、自分が主人公である現実では、なかなかそのことに気づきません。

それに、わたしの周りはKYな人ばっかり。どうしてわかってくれないんだろう? こんなこと、わたしの行動を見てたら当然わかるでしょう? もう少し気をきかせてくれたっていいのに。いらいらいらいら・・・

その気持はとてもよくわかります。でも、自分はなにもせずに、相手がわかってくれることを期待して待っていても、まず報われません。小さな一歩でいいですから、まず自分から歩み出す必要があります。

まずは相手にたずねてみる

自分の気持ちをわかってほしい。

それは、だれでも持っている感情です。そう、だれでも、です。あなたが「わかってほしい」と思っている、当の相手もそう思っているのです。

それならば、先手を取って、相手にたずねてみるのです。

ただ、聞き方については、NGワードがあります。

「なんで」「どうして」「いつも」「◯◯ばっかり」

わかりますよね? この言葉を入れると、質問ではなくて、詰問になってしまいます。

「なんであなたっていつも◯◯してくれないの?」
「あなたはいつも◯◯ばっかりなんだけど、どうして?」

こう聞かれて、素直に答えられますか?

そうではなくて、こういう感じでたずねてみてください。もちろん、言葉はあなたのキャラクターや相手との関係に合わせてくださいね。

「あなたの気持ちはどうなの?」
「このことについて、どういうふうに思ってる?」
「さきざき、どういうふうになったらいいと思う?」

答えが気に入らないときは

そして、相手の答えを、落ち着いて聞きます。聞くだけでいいんです。イエスとかノーとか、自分がそれについてできることとか、まだ考えなくてだいじょうぶです。

もうひとつ、気をつけなければいけないのは、相手の返事が自分にとって気に入らないものだったとしても、「なに言ってるの? 勝手なこと言わないでよ!」と不満をカーンとぶつけないことです。

まずは、気持ちをよく落ち着けて、どんな返事だったとしても反発しない、ということを自分に言い聞かせましょう。実際にたずねてみるときに「なにを言われても怒らないから、正直なところを言ってね」というのもいいですね。

なぜそうしなければいけないか。立場が逆だったら、と考えると、すぐわかることですよね。

自分が「気持ちをわかってもらいたい」と思っている相手に「あなたの気持ちはどう?」と尋ねられたら、うれしいのではないでしょうか。

やっと理解する気になってくれた。それなら、思い切ってふだん思っていることを言ってみよう。でも、言ってみたら、相手の表情がみるみる曇り、機嫌を損ねてしまった。なんだ、やっぱりか。話してもムダだよね。がっかり・・・

いったん喜んだだけに、失望感も大きくなってしまいます。そのあと、あなたがなにを言っても、相手の耳には入りません。

そうならないためには、相手が答えてくれたら、「うん、わかった。あなたの気持ちはそういうことなんだね」と平静に受け止めるようにしましょう。

そのあとで、あなたの気持ち、相手にどうしてほしいのかを、伝えます。

「お返し」を期待してみよう

人間は、自分がやってもらったことは、お返ししたくなる気持ちを無意識に持っています。

ですから、相手に「あなたの気持ちをわかりたい」ということを、まず先に伝えて、相手の気持ちを聞き、受け止めます。

その後であれば、相手も「あなたの気持ちをわかりたい」という気分になり、あなたのいうことを落ち着いて受け止めることができるのです。

先手必勝!

タイトルはかなりあおってしまいましたが、コミュニケーションに正解はありません。これでもわかってもらえないかもしれません。

でも、なにもせずにイライラしているよりも、相手が思っていることを聞けただけでも、そして、あなたの気持ちを伝えただけでも、かなり状況はマシになったのではないでしょうか。相手には、あなたが自己主張するだけではなくて、お互いに理解したいと思っていることが、伝わっているのですから。

大切な人との関係がこじれていると感じたら、思い出してみてください。

タイトルの元ネタはこの本。こちらもおすすめです。

 

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