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韓国人にとって、ワカメというのはとてもなじみ深い食材です。

わたしの祖父の出身地は慶尚南道狭川郡というところで、わたしは行ったことがないのですが、かなり山の中だそうです。
当然、むかしは新鮮な魚介類など手に入りませんから、海のものというと、干しダラ、乾燥ワカメが主流でした。

韓国のお祝いにはワカメスープがつきものです。
そして、ワカメスープといえば、産後の母親が毎食食べる習慣があります。

上の子は、25年前、岐阜の実家近くの病院で出産しました。
当時、まだ元気だった祖母が、出産後、小鍋にワカメスープを作って持ってきてくれ、病院の給湯室で食事の度に温めて食べました。
その病院は給食がまずいので有名なところで、産後の肥立ちとは別の意味で、かなり助かったのを覚えています。
そのころはオンボロの建物でしたが、いまは新しく建て替えられているので、あのまずい食事もきっと改善されているでしょう。

在日一世である祖母は、子供の頃の韓国での思い出をよく語ってくれました。
そのひとつ、これは祖母が直接体験した話ではなく、結婚してから聞いた話ですが、とても気に入っているエピソードがあります。

わたしの曾祖母は両班(ヤンバン、在地地主)の末娘で、お嬢様として可愛がられて育ったそうです。
曽祖父はふつうのお百姓さんで両班ではなかったのですが、男ぶりがよい若者だったので、曾祖母の父が気に入って大事な末娘を嫁がせたそうです。
曽祖父が亡くなったのはわたしが中学3年のときだったので、晩年の顔立ちははっきり覚えていますが、確かに背が高く、立派な顔立ちのおじいさんでした。

その曾祖母が結婚後、初めての子供を授かったという知らせが実家に入ると、実家から、女中さんが、牛の背に米とワカメの俵を載せてひいてきたそうです。
なんと豪気なプレゼント。
そして、その光景を想像すると、まるで童話の中のようですよね。

およそ100年くらい前の韓国の農村でのお話です。