子供のころ、家族で夕食を食べているときは、いつもテレビがついていました。
一つ下の妹といっしょになってぺちゃくちゃしゃべりながら食べるのが常でしたが、ときどき父に「うるさい、テレビが聞こえん」と一喝されるときがありました。それは、必ず韓国朝鮮関連のニュースのときでした。
ほかのニュースのときは、聞き流していて、子供たちが騒いでいてもだれも気にしなかったのですが、祖国のニュースだけはきちんと聞かなくてはいけないものだったのです。
そんなわけで、自然と子供の頃から、韓国に関するニュースには注目する習慣になっていました。在日韓国人の多くがそうだと思いますが、わたしも年季の入った韓国ウォッチャーです。韓国語はできなくても、日本で報道されるものを継続的に見ているだけでも、いろいろ見えてくるものがあります。
なんでもきっちりしている日本社会に比べると、韓国社会は実にちゃらんぽらんに見えます。ちょっとぐらいずるをしても、人を押しのけても得したい。そして、めんどうなことは誰かに責任転嫁したい。韓国人自身も、そういう面についてはかなり自覚があり、詠嘆調で自国を憂える報道もいつものことでした。
でも、経済的に自信をつけるにつれ、日本は見習うべき点もあるけれど、自分たちは自分たちでそれなりの社会を作ってきた、という自負心が強くなってきているように見えました。
その自負心もいまやぺちゃんこになってしまい、国中がセウォル号の事件で悲しみに沈んでいると聞きます。
上のイラストには、リボンの中に「子供たちよ、本当にすまない」とあり、その下に「謹んで故人のご冥福を祈ります。心にリボンをつけました」と書かれています。韓国では、いま、実際の黄色いリボンとともに、このようなイラストがあふれているそうです。もちろん、犠牲になった高校生たちを悼み、奇跡的に帰ってくることを祈る気持ちを込めたものです。
リンクしたのは、ソウルに長年住んでいる日本の方の Twitter ですが、この間の韓国の事情の端的な解説になっています。電車の中でスマホで読んでいる方はちょっと注意したほうがいいかもしれません。涙がおさえられなくなるかもしれないので。
いままで、橋が突然崩れたり、デパートの建物が崩れたり、地下鉄火災が起きたり、たくさんのショッキングな人災が何度も起こっています。でも、今回の事故は少し違うような気がします。
せっかちで、喜怒哀楽が激しく、細かいことは気にせず、エネルギッシュな、愛すべき韓国の人たち。今度こそ、安全を重視し、慎重に行動するように変われるのでしょうか。
わがやの高校生を見るにつけ、これから人生の花咲く時期を迎える子供たちが遭遇した惨禍を思うと、わたしの胸もとても痛みます。
熱しやすく冷めやすい韓国人ですが、いまの悲しみを長く心にとどめて、事故防止に取り組んでくれることを心から祈っています。