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食べかけの写真ではありません。これから食べるところです。ピビンパを食べるときは、必ずこのくらい混ぜて下さい。それが言いたくて、あえてあまり美しくない写真を載せてみました。

先日、焼肉屋さんをやっている友人に「ピビンパを混ぜないで食べるお客さんが多い」という話を聞いて、おかしいやら、気の毒やら。気の毒っていうのは、せっかくおいしいものを目の前にして、おいしい食べ方を知らないなんて! ということです。

ピビンパという言葉は、韓国語では「混ぜるご飯」という意味です。食卓で混ぜてはじめて完成する料理なのです。

ただ、日本の食習慣では、きれいに盛られたものをぐちゃぐちゃにして食べるというのは、ふつうありえないことです。ですから、混ぜるものだと知っていても、心理的に抵抗があってできない人もいるようですね。むかし、だいぶ年下のお嬢さんといっしょにピビンパを食べて、「混ぜたいけど、混ぜれないから、混ぜて!」と言われたことがあります。そのときは「まあ、甘えちゃって」と笑っていたのですが、混ぜるのが当然のわたしにはわからない抵抗感があったんでしょうね。

逆に、「ピビンパを混ぜないで食べる」というのは、韓国人から見ると、ありえない光景のようです。以前、妹といっしょに韓国旅行した時に、ふつう観光客が入らないような町の食堂でピビンパを食べたことがありました。妹は、当然混ぜて食べるものだと知っているのですが、あまりぐちゃぐちゃが好きではなくて、中途半端に混ぜて食べていたわけです。そうしたら、それを見ていた食堂のアジュモニ(おばさん)が、「そんなんじゃだめだよ、ほら」と、食べている妹の手からスプーンをもぎとって、おもむろに、がっがっと混ぜてしまったのです。わたしたちが日本語でしゃべっていたので、何も知らない日本人だと思われたのでしょう。

日本国内でも、ピビンパを配膳した時に「混ぜますね」と言って、スプーン2本使って混ぜてくれる焼肉屋さんがあるそうです。これも、おいしく食べてほしい気持ちからでしょうね。しかし、初めてその店に入って、お店の人にまぜまぜされたお客さんの表情はちょっと見てみたい気がします。

いままで混ぜたことない方は、一度心を鬼にして(!)、思いっきり混ぜてみて下さい。もう後戻りはできません。

そしてもうひとつ、ピビンパはスプーンで食べるものです。スプーンを使って思い切り混ぜ、そのままスプーンで口に運んで下さい。箸よりスプーンを多用するのも、韓国の食習慣のひとつなのです。