「きょうも上司に理不尽に怒られた」
「毎日残業だらけで、夜10時前に帰ったことがない」
「希望する部署に配属されず、自分に向かない仕事をやらされている」
あなたは、こんな悩みを抱えていないでしょうか。
職場でのストレスは、自分の力だけでは、原因を断つことができない場合が多いですね。
だからといって、あきらめて何もせずにいると、心身の不調をきたし、仕事の能率も落ち、ミスが増えて、ますますストレスが増えるという悪循環に陥ってしまいます。
そうならないためには、自分自身で、ストレスに対処する方法を身につけておくことが必要です。
そのためにヒントになるのが、同じように強いストレスにさらされていても、心が折れてしまう人と、心が折れない人がいるという事実です。
心が折れない人たちの行動を分析し、真似することで、ストレスに強い、折れない心を手に入れることができるのです。
では、「心が折れない人」がどのように行動しているのか、7つのパターンを見てみましょう。
1.「わたし」を主語にして表現し、事実と感情を切り分ける
心が折れない人は、自分の感情を適切に処理する方法を知っています。
不安や怒りなどのマイナス感情であっても、自分を抑えすぎることなく、また暴発して人間関係を壊したりすることなく、適切に表現するためには、まず自分自身の感情の動きを理解することが必要です。
冒頭に挙げた「きょうも上司に理不尽に怒られた」という例であれば、次のように「わたし」を主語にし、さらに事実と感情を切り分けて考えることができるのです。
「きょうも」→「この1週間で2回め」
「理不尽に怒られた」→「上司に厳しい口調で注意されたので、(わたしは)理不尽だと感じ、くやしく腹がたった」
この場合、上司はおだやかに注意するべきだという期待があったことがわかります。
また、上司からは失敗とみえたことも、自分なりに理由があり、弁解を聞いてもらえなかったくやしさがあったのかもしれません。
さらにその背景には、ふだんからいっしょうけんめい仕事しているのに、上司に認められないという不満もありそうですね。
このように自分の感情の出てきた背景を落ち着いて考えることで、マイナス感情も無視することなく、同僚に話したり、上司に説明することもできるようになってくるのです。
2.細分化した小さな目標を設定する
心が折れない人は、今ここでやるべきことに集中することを知っています。
1ヶ月先の納期までにやらなければならない仕事があれば、だいたいの計画を立てたら、1日または数時間でできる分量の見当をつけて、さっさと取り掛かります。
ポイントは、計画に余裕を見て、ちょっとがんばればできる程度の小さな目標を積み重ねることです。
小さな目標をひとつ達成するたびに達成感を感じることができ、さらに、見通し通りに行かないときも、早めに修正できます。
なにより大切なことは、「ほんとうにできるだろうか」という不安で立ちすくむのではなく、眼の前にある小さな目標にきちんと集中することなのです。
3.考えてもどうしても結論がでないときは、いったん棚上げにする
心が折れない人は、どうしょうもないことを考え続けて疲れない方法を知っています。
いくら考えても、いくらがんばっても、現状の自分の力だけではどうしようもない問題にぶちあたったとき、これ以上なにをやっても状況は動かないと見てとったら、いったん考えるのをやめて、その問題をなるべく心から追い出すのです。
そうはいっても気になってしまうのが人間ですね。
その場合はどうするかというと、前の項目に戻ります。
いまやるべき行動を考えて、そこに集中すればよいのです。
この場合、それほど必死にならなくても、真剣に取り組めば確実にできる程度のことが、向いています。
仕事に問題があるのなら、好きな小説や映画に逃避する、ちょっと手のこんだ料理を作ってみる、仕事関係ではない友人と会って話す、等、気分転換になりそうなことでもかまいません。
4.ひとりですべてやろうとせず、周りに頼ったり外部サービスを利用する
心が折れない人は、自分の限界を知っています。
困ったことがあったときに、人に頼らずにまず自分で解決しようと試みることは、一般的にはよいことです。
しかし、それがいきすぎて「なにごとも自分ひとりで解決すべき」「他人に頼ったら負け」という意味不明の信念をもつようになると、いずれぽっきりと折れてしまうでしょう。
また、「もう限界だけど、だれに頼ったらいいのかわからない」ということもあるかもしれません。
まずは、自分が利用できる、頼りにできる、次の3つの人やモノを、日頃から意識しておきましょう。
(1)知識や情報
ネットで検索して解決、というのは、だれでもやっていることですね。さらに、その分野に詳しい人や、書籍、勉強会などに日頃からアクセスしておきましょう。
(2)実際の手助け
同僚や家族に「ちょっと手伝って」と言えないような関係になっていないでしょうか。
身勝手だと思われないか、頼んだらイヤな顔をされるのではないか、そのようなためらいが、ほんとうに周りを大切にすることなのか、考えてみるのもいいかもしれません。
あなたがストレスで倒れてしまったら、いちばん困るのは周りの人たちなのですから。
(3)心を打ち明けられる相手
だれかに悩みを話したからといって、状況は何も変わりません。
でも、ほんとうの気持ちを話すことで、心がいやされ、問題に取り組む意欲が湧いてきます。
愚痴も必要なものなのです。
周りにそのような相手がいなければ、カウンセリング等の有料サービスを利用するのもよいでしょう。飼っているペットや植物に話しかけることも、それなりに効果がありますよ。
5.どんな状況でも自分にプラスになることはないか考える
心が折れない人は、つらい状況から希望を見出す方法を知っています。
上司に叱られたときに「厳しく指導されるのは、期待されているからだ」と、物事のよい面を見ようとし、前向きに考えることが習慣になると、ストレス軽減に効果があります。
しかし、むやみによい面だけを見ようとして、現実をきちんと見つめられないのはよくない、と考える人もいそうですね。
であれば、「この状況から、自分はなにを学べるだろうか」と、自分にプラスになることを探すのはどうでしょうか。
不本意な仕事や、気の合わない上司や同僚であっても、そこから学ぶことは必ずあるはずです。その意識ひとつで、ストレスだらけの毎日からやりがいを見出すことができます。
6.睡眠時間や自分のための時間を削らない
心が折れない人は、自分自身を大切にすることを知っています。
まず考えなければならないのは、睡眠時間を確保することです。
自分は短時間睡眠でもだいじょうぶ、と考えがちですが、睡眠6時間未満で足りるショートスリーパーは、人口の1割もいないという調査結果もあります。
自分では気づかなくても、睡眠不足の影響で、仕事の効率は落ち、イライラしやすかったり、気力がなくなったりしているのです。
ほんとうにショートスリーパーなのかどうかは、いったん7時間以上の睡眠を続けてみなければわかりません。
ほとんどの場合は、「よく寝ただけで楽になり、ストレスに対処できる」という結果になります。
さらに、食生活と運動も大切です。
体の調子を整えることが、心の調子をよくし、ストレスに負けない自分をつくることだと考えましょう。
趣味や気晴らしの時間も、ムダだと考えたり、遊んでばっかり、という非難を恐れるのではなく、自分のために必要な時間だと意識するとよいですね。
7.周りの人に気軽に「ありがとう」と言う
心が折れない人は、周りの人を大切にすることを知っています。
職場のストレスの大きな部分は、人間関係からもたらされるものです。
自分は一生懸命やっているのに、周りはだれも認めてくれない、という気持ちに陥ってしまったときは、まず自分から周りの人を認めるのが、その不満を解消する早道なのです。
方法は簡単です。
周りの人への感謝を日頃から口にするだけです。
「いつもありがとう」
「○○してくれて助かりました」
「あなたのおかげで○○できました」
最近、こういう言葉を口にしたでしょうか。
自分が言わないことは、周りもあなたに言ってくれないのではないでしょうか。
以上、自分一人ですぐとりかかれる7つの行動を見てきました。
ストレスへの対処は、もちろんこれがすべてではありません。
原因を見据え、問題にガチに取り組むためにも、心が折れない人たちを見習って、自分自身の状態をよくしておきましょう。