被保険者資格の勤務期間要件(2月要件)の見直し(基本的事項)

問1 なぜ健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の勤務期間要件(2月要件)を見直すのか。

(答) 今般の見直し前において、「2月以内の期間を定めて使用される者」は、臨時に使用される者として適用除外とされており、その後「所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合」には、その時点から被保険者資格を取得することとし、最初の雇用契約の期間は適用除外とする取扱いとされていました。
そのため、より雇用の実態に即した健康保険・厚生年金保険の適切な適用を図る観点から、「2月以内の期間を定めて使用される者」について、「当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの」との要件を追加し、契約の更新等により実際には最初の雇用契約の期間を超えて継続して使用されることが見込まれる場合は、最初の雇用契約の期間から被保険者資格を取得するよう規定しました。

問2 2月以内の期間を定めて使用される者について、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」とは、具体的にどのような場合か。

(答) 最初の雇用契約の期間が2月以内であっても、次の(ア)又は(イ)に該当する場合は、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」に該当するものとして、最初の雇用契約に基づき使用され始めた時に被保険者資格を取得することになります。
(ア)就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」又は「更新される場合がある旨」が明示されていること。
(イ)同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき使用されている者が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて使用された実績があること。
ただし、(ア)又は(イ)に該当する場合であっても、2月以内で定められた最初の雇用契約の期間を超えて使用しないことについて労使双方が合意(※)しているときは、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」には該当しないこととして取り扱います。
(※)書面による合意(メールによる合意も含む。)が必要となります。

問3 令和4年10月に短時間労働者の勤務期間要件(1年以上継続使用要件)が撤廃されるが、被保険者資格の適用除外要件の見直しとの関係はどのようになるのか。

(答) 令和4年 10 月1日以降、短時間労働者に該当する者についても、「2月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの」の適用除外要件が適用され、「2月を超える期間を定めて使用される場合」又は「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」に該当する場合には被保険者資格を取得する取扱いとなります。

2.適用除外要件の見直しに係る具体的な取扱い

<被保険者資格の取得日について>

問4 2月以内の期間を定めて使用された者で、2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれなかったものについて、契約開始後に状況が変わり契約が更新されることが見込まれることになった場合、被保険者資格の取得日はいつになるのか。

(答) 契約の更新が見込まれるに至った日に被保険者資格を取得することになります。

問5 労使双方により2月以内の最初の雇用契約の期間を超えて使用しないことについて合意していたため、使用開始時においては被保険者資格を取得しなかった者について、契約期間中に上記の合意を撤回し、最初の雇用契約の期間を超えて使用される見込みが生じた場合、被保険者資格の取得日はいつになるのか。

(答) 最初の雇用契約の期間を超えて使用しないという合意が撤回され、契約の更新が見込まれるに至った日に被保険者資格を取得することになります。

問6 契約の更新が見込まれるに至った日とはいつを指すのか。

(答) 労使双方の合意があった日となります。また、労使双方の合意は書面による合意(メールによる合意を含む。)が必要となります。

問7 2月以内の期間を定めて使用された者で、雇用契約が更新されることが見込まれていたものについて、契約開始後に状況が変わり、契約更新を行わないこととなった場合、契約期間の途中で被保険者資格は喪失するのか。

(答) 2月以内の期間を定めて使用された者で、雇用契約が更新されることが見込まれていたが、結果的に契約更新を行わないこととなった場合でも、契約期間の途中で被保険者資格は喪失しません 。

問8 月の途中で採用となった場合に2月はどのように判断すれば良いか。

(答) 雇用期間が2月を超えるか否かについては、暦月による計算に基づいて判断します。

<被保険者資格の取得について>

問9 被保険者資格の取得要件を満たさない就労形態(例えば、1週間の所定労働時間が20時間未満の短時間労働者等)で2月超雇用されていた者について、契約変更により雇用契約の期間以外の被保険者資格の取得要件を満たすことになったが、変更後の雇用契約の期間が2月以内である場合、被保険者資格は取得するのか。

(答) 被保険者資格の取得要件を満たさない就労形態で2月超雇用されていた者が、契約変更により被保険者資格の取得要件を満たした日以降の雇用契約の期間について判断することになります。 この場合、被保険者資格の取得要件を満たした日以降の雇用契約の期間が2月以内で、雇用契約が更新されることが見込まれない場合は、被保険者資格は取得しません。しかしながら、その雇用契約が更新されることが見込まれる場合は、契約の更新が見込まれるに至った日に被保険者資格取得することになります。

問10 令和4年10月1日前に2月以内の期間を定めて雇用されており、10月1日以降も引き続き使用されている者は、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」についてどのように判断するのか。

(答) 令和4年10月1日時点において締結されている雇用契約で判断を行います。 この場合、雇用契約が2月以内であっても令和4年10月1日前から引き続き使用され、令和4年10月1日時点において雇用契約が更新されることが見込まれる場合は、令和4年10月1日から被保険者資格を取得することになります。

問11 令和4年10月1日前から引き続き使用されている短時間労働者で、勤務期間要件(1年以上継続使用要件)を満たしていないため、被保険者資格を取得していなかった者について、令和4年10月1日以降の残りの雇用契約の期間が2月以内で、雇用契約が更新されることが見込まれない場合、被保険者資格は取得するのか。

(答) 施行日前の雇用契約の期間と、施行日以降の雇用契約の期間を通算して2月を超える場合は、適用除外要件である「2月以内の期間を定めて使用される者」に該当しないため、施行日に被保険者資格を取得することになります。

問12 2月以内の雇用契約の締結が、数日の間を空けて繰り返し行われる場合、被保険者資格は取得するのか。

(答) 雇用契約が数日の間を空けて再度締結される場合でも、事業主と被保険者との間で次の契約更新の予定が明らかであるような事実が認められるなど、就労の実態に照らして事実上の使用関係が中断することなく存続していると判断できるときには、最初の雇用契約の期間から被保険者資格を取得することになります。

問 13 雇用契約の期間が2月以内であっても、最初の雇用契約の期間から被保険者資格を取得するための要件として、「同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき使用されている者が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて使用された実績があること」が挙げられているが、「同様の雇用契約」とは、どのように判断するのか。

(答) ここでいう「同様の雇用契約」とは、契約内容や就労の実態に照らして総合的に判断することになります。例えば、勤務先・報酬額・労働時間等の特定の労働条件のうちいずれかが異なることをもって、「同様の雇用契約」ではないと判断するのではなく、個別の契約について内容等に照らして総合的に判断することになります。

<派遣労働者の取扱い>

問 14 派遣労働者について、下記の例のように同一の派遣元事業所から複数の事業所に派遣される場合は「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」についてどのように判断するのか。

  • (例1)派遣元事業所との雇用契約でA社、B社に派遣された場合① A 社:8/1~9/末: 10h/週(更新無) B 社:8/1~9/末: 10h/週(更新可能性有)
  • (例2)派遣元事業所との雇用契約でA社、B社に派遣された場合② A 社:8/1~9/末: 10h/週(更新可能性有) B 社:8/1~9/末: 10h/週(更新可能性有)

(答) 複数の事業所に派遣される場合で、上記の例 1 のように一部の事業所への派遣期間のみが更新される可能性があるときは、派遣期間が更新される可能性がある事業所における就労形態が、被保険者資格の取得要件を満たす場合に被保険者資格を取得することになります。このため、A社における就労形態が問2(ア)及び(イ)のいずれにも該当しない場合には、派遣期間が更新される可能性があるB社の就労形態のみで判断することとなりますが、B 社における所定労働時間は週20 時間未満となるため、被保険者資格の取得要件は満たしません。一方、契約更新時にB社における所定労働時間が週20 時間以上となる場合は、契約更新時から被保険者資格の取得要件を満たすことになり、その時点から資格取得することとなります。
上記の例2は、A社及びB社の両方とも派遣期間が更新される可能性があることから、2社の所定労働時間を合算して判断することとなります。合算すると週20 時間以上となるため、8/1 から被保険者資格の取得要件は満たすこととなります。
※ 上記の取扱いは短時間労働者に限る取扱いではなく、通常の労働者の適 用除外要件(4分の3未満要件)を判断する場合も同様の取扱いとなりますが、派遣労働者ではなく、単に複数の事業所に使用されている者(2以上勤務者)については、個々の事業所における雇用契約に基づき適用除外要件に該当するか否かを判断することになります。

問15 令和4年10月1日前から引き続き使用されている者について、令和4年10 月1日以降に健康保険・厚生年金保険の適用を判断する場合、どの適用要件によって判断するのか。

(答) 令和4年10月1日前の就労期間については施行前の適用要件に該当した時点から、令和4年10月1日以降の就労期間については施行後の適用要件に該当した時点から適用を行います。