Green Fish

個人的なあれこれ。

社会から断絶して動物になるということ

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最初の子供を産んだのは25才のとき。

子供は生まれつきかなり大きく(3,850g)、母乳はあふれるほど出て、6ヶ月で10キロ弱と発育も上々。

母乳が思うように出なくて悩んでいる、悩んだ人からすると、うらやましい状況だろう。はい、たいへんラッキーな人間です。

でも、授乳している時期はとてもつらかった。

ひとことでいうと「赤ん坊に縛り付けられている」と感じていました。

授乳間隔は、昼間は2時間、夜は3時間くらい。新生児期だけじゃなくて、半年くらいそんな感じだった。2時間おきに15分から20分の授乳時間。しかも、なかなか寝ない子で始終抱いている状態。睡眠不足でふらふらでした。

こんなにしょっちゅう泣いておっぱいを求めるんだから、ひょっとして母乳が足りてないんだろうか? と悩みました。発育がいいんだからそんなわけはないんだけど、当時はそういう客観的な視点はもてなかった。寝てないし、自由に外出することもままならない状態なので、視野がせまーくなっていたわけですね。

で、ミルクを飲ませようとしてみたが、哺乳瓶はまったく受け付けず。乳首がいやなのかな、とシリコン製とか、形が人間の乳首に近いものとか試してみたが、すべてだめ。

離乳食をはじめるまで、ミルクはおろか、白湯すら飲まず、母乳オンリーでした。

3ヶ月検診で「太りすぎじゃないですか? これ以上体重が増え続けるようなら、授乳は制限したほうがいいかも」などと言われ、母乳なのにどうやって制限するんじゃ、狭いアパートに赤ん坊とふたりでいるのに、泣き続けるのをほっとけというのか、と腹がたったのを覚えている。

体格がいいだけあって、泣き声も堂々たるもので、入院しているころから、ほかの赤ちゃんたちと比べて「うちの子、声でけぇ(^^;」と思っていたのだから、数カ月後は推して知るべし。

赤ん坊が飲みきれないのを放っておくと、痛いし、乳腺炎の危険もあるのでしぼって捨てるわけですが、これも肩こるし、うまくしぼれない。電動の搾乳器まで購入したけど、かえって手動のほうがいいくらいでしたね。

たくさん飲む子は当然出すものも多いです。 母乳の子は便がゆるめなので、しょっちゅうおむつカバーまで汚れてしまい、洗濯が間に合わないくらい。最初は布おむつを使っていたけど、早々に挫折して紙おむつに。

着るものは前開きに限られるし、自分の胸からいつもむっとするような生臭い匂いがするし、ひとつひとつは別にたいしたことではないんだけど、上記のような状況だったので、さらに意気阻喪してしまう。

離乳食を始めたら、なんでもよく食べるので、8ヶ月のとき、早いのはわかっていたが、思い切って断乳してしまいました。正直、これ以上はムリという感じで、夫も実母もだれもなにも言わなかった。それで、やっと人間らしい生活に戻れました。

人間がこれだけ自然から離れてしまっても、出産、授乳という営みは動物のときのまま。わたしにとってのひとりめの授乳期は、社会から断絶して動物として生きていたような感覚だった。

赤ん坊が自分の胸でこくこくと乳を飲み、満足してまどろむのを見るのは幸せだったのは確かだけど、まあ、程度問題ということです。

ちなみに、件の赤ん坊はいまは26才の青年になり、身長は170センチ、痩せ型です。

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