ネトウヨくんたちの大好きな言説に、朝鮮時代のソウルはひどくみすぼらしく、民衆はぼろを着て、家々はいまにもつぶれそうな掘っ立て小屋、それを日本が支配するとあ~ら不思議、街は立派になり、人口は増え、人々は豊かになりましたとさ、というのがある。朝鮮人は未開で野蛮で無能力だったのである。過去形じゃなくて、現在の朝鮮や韓国だって、ひどいニュースばっかりだ。いまでも朝鮮人は野蛮で無能力な人種なのである。俺たち日本人様とは、雲泥の差だ。
しかし、それが、在日に対する言説になると、なぜかトーンが変わってくる。
在日はひそかに日本を支配している。パチンコは何兆円だかの産業だし、マスコミも宗教界も政治も経済も、実は在日の影響力抜きには語れない。
在日ならば、自動的に生活保護で月17万円もらえるし、水道代も払わなくていいし、住民税も非課税。毎日遊んで暮らせるのである。在日とは現代の貴族なのだ。うんぬんかんぬん。
しかし、これって、なにか不思議な話である。このふたつの言説をつなげると、日本人は野蛮で無能力な朝鮮人に、しかも、その中でも、職を求めて日本に渡ってきた無一文の朝鮮人に、支配されちゃったということになる。世界中のどこでも、旧宗主国にいる植民地出身者が、実はその国の影の支配者でした、なんて話は聞いたことがない。
いやー、在日の能力というのは、すばらしいねぇ。こんなことができるのなら、世界征服の日も近いことだろう。
もちろん、ひとりの人がこのふたつの説を唱えているとは限らないが、ネトウヨくん同士で、「日本を影で支配している朝鮮人が、100年前だからって、そんなに無能力なわけがない!」「朝鮮人なんて日本人よりはるかに劣る連中が、在日特権なんて持っているわけがない!」という内輪もめは、起こっていないようである。
それにしても、行政を意のままにあやつる能力があるのに、それを利用して得るものが、たったの月17万だとか、水道料金だとか、妙に話が小さいのも笑える。莫大な富を築き上げた在日の起業家も何人も数えられるが、彼らがいかに在日の持つ影の権力を生かして財産を作ったか、っていう話は聞かない。そういう話を作るのは、彼らの手にはあまるらしい。月17万で暮らしたり、公共料金が免除されたり、という「特権」なら実感としてわかるらしいが。このあたりが、彼らの身の丈ということかな。