
労働時間は、5分、15分、30分、どんな単位であろうとも、切り捨ててはいけません。
基本は、1分単位です。
時給者の給与計算がめんどうだから、計算しやすく1日の労働時間の数字を丸めたい、というときには、「切り上げる」しかありません。
ただし、時間外・休日・深夜などの割増計算の場合には、次のような例外が認められています。
「1か月の労働時間を全部合計して、そこに30分未満の端数が出たときにだけ、切り捨てることができる。30分以上は切り上げとする」
1か月単位なら30分未満切り下げ、30分以上切り上げが違法ではないと言っても、そこまで1分単位で計算しておいて、1か月単位の計算だけ端数が出ないようにする、というのも、あまり合理性のない話です。
自動的に残業時間を集計してくれるタイムレコーダーも発売されていますし、労働時間を計算するフリーソフトもネットで検索すれば、みつけることができます。
また、Excelなどの表計算ソフトで、自分で集計シートを作って計算することもできます。
仕事にパソコンが欠かせない現代では、「1分単位の集計が負担になる」という言い訳は、使えないでしょう。
もうひとつ、タイムカードの集計について、経営者からよく出る質問があります。
仕事が終わってからも、職場でぐずぐずして、15分か20分たってから、やっとタイムカードを押して帰るような人の場合も、タイムカードどおり、1分単位で払わなきゃいけないの?
これも、ふだん給与計算をタイムカードに基づいて行っている場合は、タイムカードの打刻通り計算して、給与を支払わなければなりません。
ただし、タイムカードを使ってはいるけれど、出欠の管理程度の目的で、実際は勤務日報などに基づいて、労働時間を計算して支払っているような場合は、例外が認められることもあります。
その場合、具体的な資料を示して、「タイムカードの打刻の時間と、実際の仕事の終了時間が違う」ということを、示さなければなりません。
直行・直帰が多いような職場では、上のような扱いが認められた判例もありますが、基本的にはタイムカードを使っている以上、タイムカード通りに、1分単位で計算することが必要です。