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埼玉県警にストーカー規制法違反容疑で逮捕されたのは、さいたま市立中学校で教べんを執っている数学教諭(58)。「交際したかった」「結婚して、幸せにしたかった」。同僚だった20代の女性教諭に執拗(しつよう)に電話連絡し、時にはプレゼントまで。だが、その思いはついに実らず、交際が実現することはなかった。「このままでは凶悪犯罪につながる」。県警が逮捕に踏み切った数学教諭の一方的純愛とは。
【衝撃事件の核心】「幸せにしたかった…」58歳中学教諭の「純愛」暴走 ストーカー行為止まらずついに逮捕+(1/3ページ) – MSN産経ニュース

逮捕者が出てしまったセクシュアルハラスメント事案です。逮捕された男性の側から見ると気の毒な感じもしますが、つきまとわれた女性の恐怖や不安は想像するにあまりあります。

セクハラ事案の場合、行為者(加害者)の意図は、それが純愛だろうと遊びだろうといやがらせだろうと、関係ありません。被害者の側が、恐怖や嫌悪感を感じ、常識で見てもその感じ方がそれほど極端でなければ、それでセクハラになってしまいます。

報道されたこの件はどうだったのかわかりませんが、一般にセクハラの被害者は、いやだという気持ちをあまり外に出すことができないものです。職場の力関係で強要される以外にも、いやなものはいやだと言う、はっきり断る、ということができない人が少なくありません。たいていの人は、とくに女性は、自分の意志をきちんと相手に伝える訓練を受けていないと言ってもよいでしょう。

正直お呼びじゃない相手にデートに誘われた場合、たいていの女性は「あなたに興味がないから行きません」とは言いません。「その日はちょっと・・・」と用事があることにする場合が多いでしょう。愛想よくにこにこしていたり、「誘ってもらってありがとうございます」なんて礼儀正しく付け加える人もいるかもしれません。

これでは、相手に「あなたとはデートしたくない」という意図は伝わりません。「それなら別の日では?」と新たな提案がしばらくしてやってきます。また別の用事にかこつけて断られても、「忙しいんだな」と思って、自分という人間が相手にされてないのだとは解釈しなかったとしても、男性の側をあまり責めることはできないでしょう。

セクハラの研修などでは「2,3回誘って断られ、相手がこの日なら都合がいいですよ、と言ってこない場合は、脈なしと思ってあきらめてください。それ以上しつこく誘うと、誘っている方は恋愛だと思っていても、セクハラ事案になる場合があります」と言っていますが、そういう女性のコミュニケーション方法をきちんと理解してくれる男性ばかりとは限りません。また、そういう鈍感さが必ずしも悪いというわけではありません。

「これだけ断ってるのにまだ気づかないの! うざっ!」と切って捨てるのではなく、できれば断る側も、自分の断り方を考えてほしいものです。

「あなたとは職場の同僚(先輩・上司)としてこれからもうまくやっていきたいのですが、プライベートでおつきあいするつもりはありません」

「あなたの人間性は信頼できるのですが、男性として見ることはできません」

こんなところでしょうか。これを伝えるのはかなり難しいというのは、わたしにもよくわかります。キライ、とか、キモい、とか、言わなくても、相手が打撃を受けるのは間違いないからです。また、率直にこのように伝えても、相手の怒りを買い、いやがらせをされたり、ますますつきまとわれたりする危険もなくなりません。

もちろん、「ちゃんと断らなかったからこうなったんだ」なんていうつもりはありません。なにを言ってもダメなときはダメなんです。コミュニケーションに正解はありません。

そういうときは、職場の信頼できる人に相談するなど、断り方を考える以外の方法も必要になってきます。

ただ、これほどやっかいな問題ではなくても、「ノーと言えない」「いやなことでも断れない」という傾向があると思ったら、「相手の気持ちもだいじにしながら率直に伝える」という訓練をしてもいいかもしれません。

コミュニケーションの方法は性格と強く結びついています。でも、「性格=コミュニケーション」ではないのです。コミュニケーションはコミュニケーションとして、効果的なやり方を学び、練習することもできます。

そんな方法のひとつとして、アサーションがあります。セクハラ防止のため以外にも、職場のコミュニケーションを改善するのにとても効果のある方法なのです。