昨年10月の発表ですので、いささか旧聞に属しますが、こんな調査がありました。

全国の働く20代女性に聞いた「理想の男性像」。約5人に1人は40代以上男性を結婚対象に!慕われる理想の上司になるために心がけたいポイントは?|株式会社ファンケルのプレスリリース

サブタイトルには「――― 年上男性の印象に関する調査報告 ―――中高年男性に朗報!?」と入っています。(強調表示は引用者)
いやー、そこは煽らないでほしい・・・と、正直思いました。

調査記事のからくり

しかし、この煽りはなかなかよくできています。

ファンケルは化粧品や健康食品を販売している会社です。
このプレスリリースにも、最後にやせるための健康食品の情報が入っています。
つまり、この調査で言いたいのは、「中高年男性のみなさん、当社の製品を食べてスリムになり、若い女性にもてましょう」ということでしょう。

この調査の第一問目は、「何歳までが結婚対象になりますか」

特筆すべきなのは、「40代まで」、「50代まで」、「いくつでも問題ない」と回答した人を合わせると18.9%である点。

ここは「恋愛対象」ではなく「結婚対象」であるところがミソ。

年上男性を結婚対象にしている「40代まで」、「50代まで」、「いくつでも問題ない」と回答した20代の女性(18.9%)は、年上男性のどんなところに魅力を感じているのかアンケートを実施。回答数が多かったのは、「経済力・金銭的余裕がある(37.1%)」、「落ち着き・頼りがいがある(34.0%)」という結果に。

ここまで読むと、結局、恋愛対象としての魅力、顔を見るだけで胸がときめく、なんてことではないのが、わかります。
要するに「お金」ですね。
中高年が結婚対象とはいっても、お金があり、頼りがいがある(これも金銭的余裕がないとたぶん厳しい)人ではないと、お呼びじゃない、ということです。

さらに、第2問がおもしろい。
一問目が結婚相手の年代の話だったのが、とつぜん「男性上司」が出てきます。

男性上司の理想の体型についても質問しました。「どちらでもよい(54.4%)」と回答した人を除くと、大きく差をつけて「痩せていてほしい(44.1%)」が選ばれました。

「どちらでもよい」、つまり、男性上司の体型なんて別に興味ない、というのが実際のところでしょう。
まあ、あえていうなら、太っているより痩せている方がいいかな、という感じ。

で、3問目と4問目で、「若い女性は、中高年男性の外見を気にしている」という意識付けをします。
3問目なんて、「年上男性に幻滅してしまうポイント」を尋ね、1位2位が「加齢臭」「経済力のなさ」ときているのに、3位と4位の選択肢に注目して外見に話をもっていっています。

全体を見ると、別に嘘はついてない。

ただ、よく読むと「若い女性の一部は、中高年男性も結婚相手として許容範囲だけど、お金がある人に限る。外見がかっこ悪いのも、ありえない。つまり、大半はアウト」ということが読み取れるのですが、見出しだけをざっと見ると「中高年男性でもスリムになって外見を気にすれば、若い女性が対象にしてくれるかも!」という話になっているのです。
あくまでも「結婚対象」という話で、既婚者も当然アウトなのですが、そこは第1問に出てくるだけで、読み終わる頃には「恋愛対象」という印象が残ります。

フィクションならいいが

フィクションの世界では、若い女性が中年男性と恋に落ちる物語があふれています。

最近では、『恋は雨上がりのように』という映画がありました。
原作は青年誌連載のマンガ。つまり、メインターゲットは男性です。
わたしは見ていませんが、17歳の女子高生が45歳のファミレス店長に恋する、というお話だそうで。

ほかにもいろいろ思いつきますが、いちいち例は出しません。

わたし自身も、中高生のころのアイドルはクラーク・ゲーブルでした。
もっとも、現実に自分よりずっと年上の男性にひかれたことは一度もなく、あくまでも、フィクションの中の話、それも『風と共に去りぬ』のレット・バトラーに憧れていただけですね。

いまの社会を動かしているのは中高年男性です。
フィクションでも、彼らに受けるものが多いのは、当然でしょう。

フィクションはフィクションで、格別問題ありません。
しかし、職場で中年男性(多くは上司)が、若い女性とつきあおうとすると、セクハラという問題が起こる可能性が出てきます。

若い女性のお愛想は上司へのおもてなし

いままで男性ばかりだった職場に、女性が増えてくる。
しかも、若い女性を採用して、数年で辞めてしまう場合が多いので、女性の年齢構成が偏っている。
多くの職場で起こっていることです。

そのような職場では、おじさんたちは、女性の部下との付き合い方がよくわかっていません。
愛想よくうなづく、にこにことあいさつする、お世辞のひとつも言ってくれる、そういう女性部下の行動が、自分という「男性」に対する好意だと勘違いしてしまうのです。

キャリアの浅い女性にとって、直接の上司は無視できない存在ですから、できるだけよく見てもらおうとします。
しかも、中高年男性は、それで喜ぶことがわかっている。
上司へのおもてなしですね。
「恋愛対象として見ているか」と問われたら、ほとんどの女性部下が、ぶんぶんと首を横にふることでしょう。

何度も断られているのに、しつこくデートに誘う。
飲み会の帰りにいきなり抱きつく。
タクシーに無理やり乗せて、ホテルに行こうとする。
人事権をちらつかせて性行為を強要する。
典型的なセクハラで、女性から見ると許されない行為です。

でも、その背景には「自分も若い女性の恋愛対象になるかもしれない」という中高年男性のファンタジーが隠れているわけです。

そのために、一生懸命ダイエットしたり、服装に気を使うところまでは、もちろんOKです。
冒頭の調査も、別にセクハラを煽っているわけではなく、そのような行動を期待しています。

夢を持つのは自由です。
しかし、夢は夢のままで、ゆめゆめ、直接若い女性にアプローチするという行動を起こさないでください。
上に書いたようなセクハラの加害者になると、その会社でのキャリアは頓挫し、人生設計自体に大きな悪影響があることをお忘れなく。

 

実情をよく知っている講師のハラスメント防止研修