マイナンバーが導入されて、取得や保管の負担ばかり増えて、メリットどこにあるの? と思っていた方も多いでしょう。
ここに来て、やっと手続きの簡素化が見えてきました。

最近発表になったのは、社会保険と年末調整の手続きの電子化です。
それぞれ内容を見てみましょう。

年末調整

ICTの活用による年末調整手続の簡便化のため、年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)(※)を無料で提供します。【令和2年10月導入予定】

  • 作成可能な年末調整関係書類は、①保険料控除申告書、②住宅借入金等特別控除申告書、③扶養控除等(異動)申告書、④配偶者控除等申告書。
  • 上記申告書のほか、令和2年分以降の年末調整において追加される基礎控除申告書及び所得金額調整控除申告書についても対応予定。
  • 従業員は、国税庁ホームページから年調ソフトをダウンロードして利用可能(なお、勤務先がダウンロードした年調ソフトを従業員に配付して利用することも可能)。
  • 上記の①、②については、従業員が、保険会社等から入手した控除証明書等のデータを年調ソフトに取り込めば、控除申告書の所定の項目に自動入力(簡便・正確に控除申告書データを作成)。
  • 内容確認後、従業員はそのまま勤務先にオンライン提出可能。
  • 年調ソフトの仕様公開を通じ、民間ベンダー等が提供している給与システム等の開発も促進。

出典:税務行政の将来像 ~ スマート化を目指して ~|国税庁

手入力が減り、おそらく自動計算になるでしょうから、計算間違いも減る。
事務の手間はかなりはぶけます。
従業員からしても、手書きよりも簡単にできるようになるので、記入して提出するというめんどうさが減りますね。
その一方、デジタルに慣れない世代には、紙のほうがやりやすいかもしれません。

社会保険

厚労省は、番号室の協力のもと、ID/パスワード方式による届出に対応したソフトを準備する(2020年4月から無償提供)。

そして、2020年4月からは、下記のようなことが予定されています。

○採用・退職時の届出(厚生年金、健康保険(協会けんぽ)雇用保険)にID/パスワード方式の導入を目指す。(法人共通認証基盤と連携したマイナポータルを活用)

ID/パスワード方式ですから、現在電子申請でやっているように、一回一回電子証明書を添付しなくていいということですね。
これは、かなり利便性が高まりそうです。

時期はまだはっきりしていませんが、来年4月以降、可能な限り早期に次のような内容が実現されます。

  • 採用・退職時の届出(厚生年金、健康保険(協会けんぽ)、雇用保険)のオンライン・ワンストップ化
  • 雇用保険はハローワークシステム更改(2020年1月)後、可能な限り早期に実現
  • 雇用関係助成金について、オンライン申請を実現
  • 社会保険手続全体についても検討

出典:中小企業庁:「第9回中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ」を開催しましたより行政手続き簡素化工程表の進行状況(pdf)

社労士からすると、手続き関係のお仕事は絶滅か? という感じですが、わたしが社労士になった20年前からそのように言われていたので、いまさらですね。
単に「事務代行屋さん」ではやっていけなくなるのは、はっきりしていました。

社内で社会保険事務や給与計算、年末調整事務をやっていた方にとっても、かなりのインパクトかと思います。
始まった当初はそんなにすんなりいかないかもしれませんが、しばらくすると、会社側としても、従業員への仕事の割り振りも考える必要がありそうです。