「早朝覚醒」はうつの最初の症状であることも

朝早く、というより、夜中の3時4時に目が覚めてしまい、それっきり眠れない。
これは、早朝覚醒といって、不眠のひとつの形です。
40代以降の方だと「もう年だからしょうがない」とあきらめてしまいがちですね。

加齢にともなって自然に睡眠時間が短くなることもありますが、実はうつ病の最初の症状であることも多いのです。
病気まではいかなくても、精神的な不安やストレスが大きいとき、出てきやすい症状です。

  • 寝足りない感じで、朝がつらい。
  • 日中、強い眠気を感じる。
  • いつも頭が重い感じがする。
  • 集中力や決断力が落ちてきた気がする。

睡眠不足だと、このようにふだんの生活に支障が出るだけでなく、ストレスのもととなる問題があったとしても、積極的に対処しようという気力が失われてしまいます。

ですから、「ちょっと眠れないだけ」と放置せずに、早めに受診し、睡眠導入剤や精神安定剤を処方してもらって、まず睡眠を確保することがたいせつです。

どこで受診すればよいかわからないときは

そう言われても、心療内科や精神科って行ったことないし、どこに行けばいいのかわからない。

そう思ってためらってしまう場合も多いでしょう。

そのような場合は、ふだんかかっている内科でよいのです。

内科の先生は話を聞いて、お薬を処方してくれる場合もありますし、ほかの医療機関を紹介してくれる場合もあります。

女性の場合は、更年期障害と同時期に出てくることも多いため、婦人科にかかって、ホルモン治療と睡眠障害の治療を並行的に受けることもできます。

睡眠薬なんて飲んでだいじょうぶなの?

と、おすすめしても、不眠の治療のため薬を飲む、ということ自体に、抵抗感のある方がいるんですね。

こんなふうに思っていることがよくあります。

  • 副作用があるのではないだろうか。
  • いつも睡眠薬に頼っていると、薬なしでは眠れなくなってしまうのではないだろうか。
  • 病気でもないのに薬を飲むなんて。。。

現在は、睡眠薬といっても初期に使われるものの多くが睡眠導入剤で、眠りにつくのを助けてくれるだけ、眠ること自体は、自分自身の力で眠っているわけです。

症状に合わせてたくさんの種類があり、医師の指導で飲んでいれば、習慣性もほとんど心配することはありません。

まずは睡眠を確保して、気力がアップしてくれば、日中運動したり、気晴らししたりできますので、自然に薬も必要なくなってきます。

まわりの人の治療を止めないで

早朝覚醒に悩んでいるご本人は、自分自身がつらいので、こういうお話をすると、たいていは「じゃあ、お医者さんに行ってみようか」ということになるのですが、ご家族や親しい友人から、「睡眠薬を飲むなんて」と強く止められるということがあります。

睡眠不足の状態だと、気力や判断力がふだんより弱くなっているので、親しい人から強く制止されると、なかなか抵抗することは難しいんですね。

睡眠障害だけのときに治療すればそれだけですむものが、症状が進んでほんとうにうつ病になってしまうと、治療に長期間かかったり、何度もぶりかえしたりすることも多いので、早くお医者さんにかかることは、とても大切なのです。

あなたの職場に、ふだんは元気なのに、このごろなんだかぼーっとしている、顔色がすぐれない、だるそう、しっかりしている人がミス連発、などという人がいたら、一度「最近、ちゃんと眠れてる?」とたずねてあげてください。

ご家族よりも長い時間をいっしょに過ごす職場の仲間が、異変に気づいてあげて、適切な治療をすすめてあげることが、大きな力になります。

ゆめゆめ、「睡眠薬なんて!」と古い観念にとらわれて、たいせつな職場の仲間のメンタルの回復をじゃましないよう、お願いしたいものです。