「どこでも(だれでも)同じだよ」
「君はまだ恵まれてるほうだよ」
「このくらいのことで悩んでいたら、これからやっていけないよ」

こういう言葉って、たいていは相手を励ますつもり、なぐさめるつもりで出てくる言葉だと思います。
決して相手の悩みを軽視したり、バカにしているわけではない。

しかもだれでもよく使うものなので、言ってみれば安全パイ。
とりあえずこう言っておけば、なにか答えた気になれるし、世間のことをよく知っている、オトナな自分もアピールできます。

◯◯は言うな、するな、という指図はあまり好きではないのですが、このたぐいはやっぱりやめたほうがいいよなぁと思います。

最初に出した言葉、なんだかとても雑ではないでしょうか。
この言葉の前に、どんな悩みを置いても、意味が通っちゃいますよね。

自分の悩みを雑に扱われると、相手は傷つきます。
「こんなことで悩んでいるわたしはバカなのか?」と自己嫌悪に陥ったりします。
これらの言葉を言う人は、決してそんなことは望んでいないでしょう。

悩みというのは、とても個人的なもの、悩みの深さ、つらさはその人以外にはわからないものなので、自分から見るとささいなことであっても、やはりていねいに扱ってあげたいものです。
その人の悩みをていねいに扱うことは、その人自身をていねいに扱うことです。

なにを言っていいのかわからないとき、とりあえずいままで自分が言われてきたこと、世間でよく聞く言葉をつい口にしてしまいますよね。
でも、そんな必要はありません。

「ごめんね、なんて言っていいかわからないよ」
こんなふうに正直に言ってもいいかもしれません。

いうべき言葉がみつからなければ、黙っていればいいのです。
ただ、うなづいて聴いていればいいのです。