部下に仕事(課題・task)を指示する、というのは、管理職の仕事の根幹です。

とはいっても、プレイング・マネージャーの方は、自分の仕事でも忙しく、部下と接する時間が少なくなりがちです。

短い時間で要領よく、さらに手戻りがないような指示の仕方が大切ですね。

必ず伝えなければならないのはこのふたつです。

1.仕事の目的
2.納期

え? 納期はあたりまえだけど、「仕事のやり方」ではなく、「仕事の目的」? と、お思いの方もいるでしょう。

手順書やマニュアルなどで、やり方が決まっている仕事は、もちろんそのように指示して下さい。

それ以外の仕事で、あなたがその部下より熟練していて、ぜったいに間違いない方法だという場合は、やり方も指示するのがいいでしょう。

または、その部下が、細かく指示されて、迷いのない状態で仕事をするのを好むタイプである場合は、指示した方がよいですね。

しかし、すべての仕事の手順が決まっていて、管理職のほうが部下より熟達しているわけではありません。

たとえば、会議資料の作成を指示するような場合は、部下のほうが上司より Word や Excel、Powerpoint などを使い慣れていて詳しい、ということもよくありますね。

そのような場合は、仕事の目的を説明し、具体的な作業内容については、部下が自分で裁量できる範囲を残しておいた方がよいのです。

もちろん、毎回イチから考えさせるのは時間のむだですから、いままでに同じ仕事や似た仕事があれば、前例を示し、「もっといいやり方はないか、工夫してみて下さい。これでよいと思えば、そのままやってください」と指示すれば十分でしょう。

ではなぜ、部下が自分で考えて自分のやり方で行えるように指示した方がよいのでしょうか。

それは、部下の仕事のストレスを軽減するためです。

細かく指示した方が、なにも考えずにできるから、ストレスが少ないんじゃないの?

という疑問があるでしょうが、実は、仕事のストレスというのは、「やらされ感」があると、強くなってしまうのです。

言い換えれば、自主的に取り組んでいる、自分で裁量できる余地がある、という仕事のほうが、ストレスが少ないと言えます。

もちろん、「やらされ感」がどの程度ストレスになるかというのは個人個人によって違ってきますから、最初のほうで述べたように部下のタイプを把握するということも大切になってきます。

タイプなんてわからん、という人は、本人が目の前にいるのだから尋ねてみればいいのです。

「細かく指示されて、迷いのない状態で作業をしたいのか」

「自分である程度創意工夫する余地があるほうがよいのか」

尋ねてみることで、部下の考え方がわかるとともに、部下に「自分のことを尊重してくれている」という気持ちをもってもらうこともできます。

一挙両得ですね。