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そのむかし(といって、昔話からはじめるのは悪いクセだと思うのですが、年寄り特権ということで大目に見てください)、わたしが若い頃には、上司がキーボードに慣れていなくて、手書きの原稿をワープロで清書するという、いま考えればかなりアホらしい仕事が、若い女性にはよく回ってきました。

わりと読みやすい字を書く上司だったので、悪筆では苦労したことないのですが、漢字が読めなくて聞きに行くことがありました。

筐体(きょうたい)。

「こんな基本的な単語も知らないの?」とばかりに妙な顔をされたのを覚えています。理系の人なら知っている言葉だと思うのですが、文学部歴史学科出身のわたしには、それまでぜんぜん縁のない単語だったのです。

法律用語となると、一般的には読めない単語、やまほどありますよね。

「遺言」は、「ゆいごん」ではなく「いごん」と読みます。

「一月」も、「ひとつき」「いちがつ」ではなく「いちげつ」です。

「羈束(きそく)処分」とか、「瑕疵(かし)」のように漢字自体が難しく、ふだん使わないようなものはともかく、こういうのは混乱しますよね。

ほかに、わたしがふだんよく使う言葉では、「返戻(へんれい)」や「貼付(ちょうふ)」などが読みにくいかな、と思います。とくに「貼付」は「添付」とごっちゃになっている方もいるようです。

でも、法律に関係のない方にとっては、こんな言葉は読める必要はぜんぜんありません。書いてあれば、「書類が返されること」「貼り付けること」と意味は十分わかります。口に出して言うことってまずないですよね。

わたし自身も、相手が役所の人か同業者でなければ、この言葉は使いません。もう少しふつうの日本語で言えばいいだけです。

一般の人相手に、やたらと専門用語をふりまわすような人は、プロとはいえません。複雑な概念であっても、わかりやすく、相手に合わせて説明するのが、専門家の仕事ですから。

 

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