先日、育児介護休業法について講義する機会がありましたが、その時出た質問で、なるほどなぁと思ったものがありました。

「夫婦が別々の事業所に勤めていた場合、夫婦両方で、子の介護休暇を利用できるんですか? 世帯単位で考えると、ひとりの子供に5日じゃなくて10日になってしまいますが?」

みなさんは、どう思いますか?

まず、「子の看護休暇」は、育児介護休業法に規定されていて、小学校入学前のお子さんを育てている労働者が、お子さんがケガや病気で看護が必要なときに、年間5日(入学前のお子さんがふたり以上のときは10日)の休みをとることができる、という制度です。

この条件にあてはまっていても、「子の看護休暇」をとることができない人も法律の中に書かれています。

(1)日々雇い入れられる人
(2)その会社で働き始めてから6ヶ月たたない人
(3)週の所定労働日数が2日以下の人

また、(2)(3)の人は、自動的に対象にならないのではなく、あらかじめ労使協定を作成して、「こういう人は対象になりませんよ」と文書にしていない場合は、「子の看護休暇」をとることができます。

つまり、ここに書いてない人(場合)は、「子の看護休暇を取りたい」と必要な事項を書いて会社に申し出ると、会社は拒否することはできないんです。

もう回答はおわかりですね。

お父さんとお母さんはそれぞれひとりの労働者として、同じ子供についてもそれぞれ5日(10日)の「看護休暇」をとることができます。それは、同じ日でもかまわないし、別々の日でもかまいません。

ご質問では「別々の事業所」ということでしたが、たとえ、同じ会社であっても両親それぞれが、「看護休暇」をとることができます。

また、たとえば、お母さんが専業主婦で、子供のめんどうを見ている家庭であっても、お父さんは「看護休暇」をとることができます。

ただし、「子の看護休暇」は有給とは限りませんので、会社ごとの就業規則を確認してから取得するようにしましょう。