カン・ドンウォンは確かにかっこいい。
こういうファンタジックというか、マンガチックな設定もよく似合う。

しかし、このくらいかっこよくて、アクションも演技もできる若手俳優は、韓国にはぞろぞろいる。
悪いけど、主演がほかのだれそれでも、十分成り立つ映画だ。
それって、美しいヒーロー、ヒロインに共通する話かもしれない。
イム・スジョンも達者だし、いい味出してるけど、どうしても彼女じゃないとこの話は成り立たないかというと、まあ、そうでもない。

それに対して、脇を固めるおじさん、おばさん俳優たちは、なかなか取替がきかない存在だ。

ユ・ヘジンの馬かと思ったら犬の役とか、別の役者を持ってきたら、映画の味わい自体がまったく変わってしまうだろう。

3人の仙人たちも然り。

とくに、キム・サンホ。
神父姿で登場するなり、吹き出した。

そもそも彼らのドジから話が始まるのだが、仙人のはずが、なんの重みもなく、妖怪に襲われるときゃーきゃー悲鳴をあげるし、いきあたりばったりで適当にごまかそうとするし、仙人っていったいなんだっけ? と思うほど、ふつうのおっさんぽく、しかもおもしろい。

イ・ヨンニョは相変わらず怪演だし。
この人が出てくるだけで、わくわくする。

ヨム・ジョンアは、おばさん俳優でくくってしまうのはちょっと忍びない気もするが、この映画での役柄としてはしかたない。
とつぜんカン・ドンウォンの術でとんでもないところに飛ばされ、グラビア撮影中の衣装のまま、泣きべそをかいてアイメイクが溶けて目の下真っ黒、とか、最高だった。

ヨム・ジョンアとイム・スジョンがいっしょに登場すると、つい「箪笥!」と叫びたくなったが、このふたりの微妙な緊張関係も、ありきたりではあるがおもしろく、このあたりはヨム・ジョンアのキャラクターだよなぁ。

そして、キム・ユンソク。
この人って、いつもカリスマあふれるリーダー格というか、重みのある役ばかりで、とくに二枚目なわけでもなく、肉体派なわけでもなく、知性派なわけでもなく、そのオーラはどこから出てくるのか不思議だった。

同じくチェ・ドンフン監督の『10人の泥棒たち』の感想の一部がこちら。

豪華スター競演ということだが、キム・ユンソクって、韓国的にはこういうカリスマあふれるイメージなのかなぁ。
キム・ヘス姐さんがここまでいれこむ魅力がどこにあるのか、よくわからない。

いやー、やっとわかりましたよ、キム・ユンソクのカリスマが!

なにがあっても動じない、しかし、無理して感情を抑えているわけではない、かといって無表情ではない、まさに、ぎりぎりのバランス。
無頼だが、どこか懐が深くて、ついていきたくなっちゃう。
しかも深みがあって渋い、いい声。

惜しむらくは、人格者の道士のはずだったのに、笛の魔力に取り込まれるシーンがほとんどなくて、気がついたら血が緑色になってました、というところ。
もうちょっと、善と悪の狭間で揺れ動く葛藤が見たかった。

『ビッグ・スウィンドル』も好きな映画だし、前述の『10人の泥棒たち』、そして本作、どれも脇がいい仕事をしていて、たくさんのキャラクターがうまく噛み合っているのが、チェ・ドンフン監督作の楽しさだ。
最新作の『暗殺』は、いつものメンバーが少なかったせいか(キム・ヘスクくらいか?)、なんかもうひとつしまらなかったんだけど。

ワイヤーアクションはあまり好きではないのだが、この映画では、内容とぴったりで楽しめた。
SFX も悪くなく、韓国ではかなりヒットしたのに、日本ではあまり話題にもならなかったのは、残念。


メモ

邦題  チョン・ウチ 時空道士
原題 전우치
監督 チェ・ドンフン
俳優 カン・ドンウォン
キム・ユンソク
イム・スジョン
ユ・ヘジン
チュ・ジンモ
キム・サンホ
ソン・ヨンチャン
ベク・ユンシク
ヨム・ジョンア
イ・ヨンニョ
製作国 韓国
劇場/媒体 Netflix
製作年 2009
観た日 2018/06/09