思うところが多すぎて、感想書きにくい。

舞台は1979年のサンタバーバラ。人口10万人もいない海辺の小さな町。
美しい町並みや公園、快適な気候に恵まれていることが、映画の中からも見てとれる。

主人公の少年は1964年生まれ。
幼馴染の少女は1962年生まれ。

わたしは1963年生まれだ。
人口10万少し超える、地方都市で生まれ育った。
1979年は高校生だった。

この当時の自分を思い出すと、いずれ大学に入って、生まれた小さな町を出るというのは既定のことだった。
映画の中では、そういう未来への見通しというのは、ぜんぜん出てこない。
最後に「こうなりました」という結果が出てくるだけ。
そのあたりの意識がいちばん違うかなーと思ってみていた。

主人公を少年と書いたが、実際の主人公は55歳の母親のほうかな。
このふたりの親子関係が物語のテーマとなっている。

1)画像出典:映画『20センチュリー・ウーマン』公式サイト

「変わり者」の母。
化粧や洋服は穏当だが、足元はビルケンシュトック。
いつもタバコをふかしている。

だが、この母が「変わってる」のは、実はそういうところではない。
息子を常に尊重すべきひとりの人間として扱い、母のサインを偽造して学校をサボっても、しかったりしない。
「人のサインを真似して使ってはいけない」ということは教えるけど、その後、息子が学校をサボりたいときは、母がサインした奇想天外な理由の欠席届を持たせることになる。

周りからはなかなか理解されないだろうけど、大した見識だ、と感心して見ていた。

でも、そうやって大切に育ててきた息子が、ある日、まったく理解できない行動をとる。
どうしていいかわからない。
というわけで、身近にいる20代と10代の女性に助けを求める。
でも、彼女たちの影響で、息子の行動がさらに自分の想定した範囲を超えてしまうと、あわてて手綱をひきしめにかかる。
率直さと、でも、プライドが捨てられない心理を、アネット・ベニングがみごとに表現している。

息子は母に尊重されるのに慣れてるから、自分の未熟な考えをさもすばらしいことのように伝えるが、55歳の女性から見ると、15歳の小僧っ子にすぎないのでしゃらくさい、でも、そういうことは言わず、きちんと答える。
このあたりの表情とか、まあ、すごいもんである。

エル・ファニングもよかったけど、グレタ・ガーウィグの存在感がすごい。
そこに肉体がある、重みと暖かさがある、という存在感。
赤く染めたショートヘア、たしかに真似したくなる。

物語は、1999年から、そして、最後にはもっと後から、1979年を回想した形になっていて、登場人物の感情がリアルタイムなものとして伝わってくると同時に、その必死さ、未熟さが、「あーあ」と思いながらなんともいとおしく感じる。
主観と客観の微妙な距離が、この映画のなんとも言えない味を生み出しているような気がする。



メモ

邦題 20センチュリー・ウーマン
原題 20TH CENTURY WOMEN
監督 マイク・ミルズ
俳優 ドロシア: アネット・ベニング
ジュリー: エル・ファニング
アビー: グレタ・ガーウィグ
ジェイミー: ルーカス・ジェイド・ズマン
ウィリアム: ビリー・クラダップ
関連書籍
劇場/媒体 MOVIX宇都宮
だれと
観た日 2017/06/04

Footnotes   [ + ]