輝国山人の韓国映画 10人の泥棒たち

宇都宮でも上映していたのに、劇場で見逃した作品。
韓国では2012年の興行収入No.1 だそうで。

テンポよく、アクションも楽しく、見どころ満載で、見終わるとかなりおなかいっぱいになる。
とくに、繰り返されるワイヤーアクション(といっても、通常の意味のワイヤーが見えないようにしたアクションじゃないけど)は、迫力あった。

導入はからっとクールだったのが、結局親の恨みがどうのこうの、というウェットなところに着地するのか、とがっかりしたのだが、最後はまた、騙し騙されに落としたのもよかった。

豪華スター競演ということだが、キム・ユンソクって、韓国的にはこういうカリスマあふれるイメージなのかなぁ。
キム・ヘス姐さんがここまでいれこむ魅力がどこにあるのか、よくわからない。


キム・ヘスといえば、チョン・ジヒョンとの新旧ナイスバディ対決もおかしかった。
画像は、仮出所してくるキム・ヘスをチョン・ジヒョンが迎えに行き、ふたりが初めて顔を合わせるシーンなのだが、お互いにちくちくとげとげである。
このふたりの微妙な対立が、最後のシーンまで繰り返される。
シン・ハギュンが最高。

キャラのかぶる女性二人の反目を描くだけでは、しょせん女の敵は女、みたいなつまらない男性視線を感じてあまり笑えなかったと思うが、キム・ヘスクがチョン・ジヒョン、キム・ヘスそれぞれと心が通い合っている描写があるので、そこまでは気にならない。
もっとも、女性としては終わりと見られている高齢者にならなければ、女同士仲良くできない、というふうにも見えるので、微妙なことは微妙だ。

日本語字幕ではキム・ヘスクの別名はたんに「ガム」となっているが、韓国語では씹던껌(かんだガム)である。
もう味がない、女として終わってる、という含意もあるようだ。
そこを裏切っていくのも、この脚本のいいところだろう。男が性的に欲するのが女性の価値というところからは逃れられないけどね。

セクシーな女性を持ち上げるのを見ると、そうじゃない女性、高齢の女性は、女性の価値はそこにしかないというような、男社会の歪んだ見方を感じざるを得ない。
それを口にすると「嫉妬」と揶揄されるだけだから黙っているが。

キム・ヘスクとサイモン・ヤムの悲恋は、なんだか早々に年寄りを片付けちゃったように見えなくもないが、この映画を、そういう浅さから救っているのは確かだ。
でも「10年やってない」とか余計だっていうの。ほんと、ここも微妙。
このあたりの会話は、ふたりの共通言語である日本語だから、あけすけな言葉をてらいもなく使える、という部分はあるかもしれないが。

男の無謀な計画に巻きこまれて死ぬことになっても、「(外国で死ぬという)悪い夢を買ったから」というキム・へスクの独白で、そこだけ妙にリリカルにまとめたのが印象に残った。

それと、韓国映画の日本人偽装のシーンを見るといつも思うが、その程度の日本語で日本人に見えるわけないでしょう。
日本人は世界中どこにでもいるから、ネイティブが聞けば一発でわかってしまう。

イ・ジョンジェは、なんとなく大物になりきれない、弱いところのある役をやると、よくはまるよねぇ。

ごひいきのキム・スヒョンは、このメンツの中では坊やに見えるが、そういう役割なのだからしかたない。
筋肉をしっかりご披露し、愛する女性のために捕まってにやっとするシーンもよかった。
しかし、ボッキというのは、古臭いダサい名前なんだよね。ここも笑うところかな。

仲間同士、ふだんは二つ名で呼び合っているのだが、お互いに本名は知っていて、ここぞというときには本名を呼ぶ、というのも、しっくり来る演出だ。

明るすぎず、必要なところをしっかり見せる照明も好みだった。

まずは字幕で見たが、けっこう早口で情報も多いので、吹替えで見るのも悪くないかもしれない。

メモ

邦題 10人の泥棒たち
原題 도둑들
監督 チェ・ドンフン
俳優 キム・ユンソク
イ・ジョンジェ
キム・ヘス
チョン・ジヒョン
キム・ヘスク
オ・ダルス
キム・スヒョン
サイモン・ヤム
シン・ハギュン
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だれと
観た日 2017/05/07